コロナ逡巡日記⑥ (3月30日~4月5日):マスク着用必須となる
(本稿は、コロナ逡巡日記⑤の続きです)
リモートワークの日々。
子どもたちにもインドアの時間が続くけれど、さほどストレスは感じていないようだ。とくに6歳児と3歳児がお互いに遊んでくれるのは大いに助かる(ときどき暴力事件が発生し、政治的介入が求められたりするけれど)。
彼らの会話を聞くともなしに聞いていると、日本語と英語をそれぞれに使い分けていることに気づかされる。普段の会話は日本語だが、おままごとをしているとき(=自分以外の誰かを演じているとき)には英語になるのだ。
「Do you accept a credit card?」
「No, cash only」
「Help! There is a dinosaur in my house!」
「Run away!」
かつて私は、「息子が英語を話しはじめた」の記事で、「言語と人物を1対1に対応させる」語学教育について書いた。翻って息子たちの場合は、いわば「言語と会話のシチュエーションを対応させている」のであった。
引っ越し業者にWhatsAppでリモート見積もりをしてもらう。
こういう経験は初めてで緊張するが、やってみたらなんとかなった。いま住んでいるアパートは家具付き(fully furnished)で、引っ越しの対象物もすべて段ボールに収まる。見積もり自体は難しくない。「ずいぶん少ないですね」と業者さんも言っていた。
奥さんも私も「荷物は少なく、借り暮らしで生きていく」方針で一致している。それ以外の価値観はおおむね不一致なのだが…。
この日は一歩も外へ出なかった。
今日から、スーパーマーケット等でマスクの無料配布があるらしい。
好奇心から行きつけのBILLAに足を運んでみると、なるほど、
たしかに店員さんがマスクを配っていた。これはありがたい。
入り口の近くにいる物乞いの人にも配られていた。優しいBILLAの店員さんだ。
(2日後に再訪したら、もうマスクは配ってなかった。たぶん在庫が切れたのだ)
3月16日にオーストリア政府が外出制限をかけてから、約2週間が経った。
WHOによれば、新型コロナウィルスの潜伏期間は約2週間以内とされている。つまり、今回の「政策効果」を一次検証するには適切なタイミングと言える。
オーストリア国内を対象として、感染者の「前日と比べた増加分」をグラフ化してみる。
なるほど、たしかに外出制限がコロナ感染者の急増を抑えたと言えそうではある。
そしてこれは偶然だろうけど、オーストリアと同じく3月16日に外出禁止令を発したサンフランシスコ市も、米国内の他地域に比べて感染者を有意に抑え、ひとつの成功事例として捉えられている。(日本でも北海道が早期に外出自粛を呼びかけ、一定の効果を上げていた)
「早めの外出禁止/規制/自粛が功を奏する」とのコンセンサスが出来つつあるのはよいとして、ここで私の頭に去来するのは、「どのタイミングで、どのような基準に拠って、その制限を解除するべきなのか」の問いである。
2011年に起きた福島第一原子力発電所の過酷事故では、冷温停止状態という明確な区切りが設けられた。それによって事故が収束されたとする日本政府の見解には異論もあったが、冷温停止状態の定義(=原子炉圧力容器の底部が100℃以下を保ち、かつ放射性物質の外部放出が抑えられた状態)は、客観的に測定可能なものだった。
これに対して、新型コロナの蔓延は、何をもって収束(終息)したと判断できるのか。
①WHOなどの国際機関が統一見解を出すべきなのか?
⇒ 各国の被害状況の多様性を鑑みて、そのような統一見解に意味があるのか…?
②国内感染者数の「増加分」がゼロに漸近するタイミングか?
⇒ 毎日の感染者数が高止まりした状態でもOKなのか…?
⇒ 感染者数の「多い/少ない」はどう判断すればよいか…?
⇒ 流行の「第二波」が起こるリスクをどう評価すべきか…?
③「集団免疫の獲得」や「有効なワクチンの開発」まで待つべきか?
⇒ それはいつなのか、それまで国内経済は持ちこたえられるのか…?
いま私が推察しているのは、ソリッドな科学的根拠には頼らずに(頼れずに)、上記「②」をトリガーとして外出規制等を解除する動きが目立ってくるのではないか、ということだ。
寝る前に、沼野充義先生の最終講義をYouTubeで聞く。ウラジーミル・サンギの小説を読みたくなった。
食材が切れてきたのでLili Markt(新华朕超市)に行く。この店では、進駐軍のDDT散布みたいに来店者の頭にアルコールをぶっかけると聞いていたが、この日は両手にスプレーをするのみだ。普通の対応で、ちょっと期待外れである。
これまで私は、「日本人の出張者に対して当方からお土産を指定する」という神経の太いアプローチで物資調達をこなしてきた。成田空港の売店で千円くらいのよくわからないお菓子を買われるよりは、永谷園のお茶漬けとか、ソフトサラダとか、粉末コーンスープとか(これが意外にも売ってないのだ)、そうした相対的な貴重品を頂くほうが双方にとってWin-Winではないかと、私は以前から関係者に申し伝えていたのだ。
いま私が最も欲しているのはごま油だが、当然ながら日本からの来客は叶わない。どうすればよいか。ウィーンにおいては高級品であるそれを、値札から目をそらすようにして買い物かごに入れるほかはないのである。
6歳児の小学校のクラスメートたちに、ビデオ会議でおしゃべりをする時間が設けられる。ずうっと何かを話している子どもと(予想どおり女の子が多い)、シャイになって無口になる子どもに分かれる。我が息子はどうやら後者のようである。
幼稚園で一緒だったトルコ人の女の子に、奥さんが気を利かせて写真つきのバースデイ・メッセージを送っていた。この家族とは、お互いの自宅に招き招かれた関係である。お父さんはトルコ外務省に勤める外交官。私としては、今度お会いするときに北キプロス(世界でトルコしか承認していない国家)に対するカジュアルな見解を伺いたかったが、これも新型コロナのために難しくなってしまった。
北杜夫の短篇小説集「天井裏の子供たち」を読む。精神病院で気狂いの人たちが映画制作に励む「もぐら」がいい。世界の哀しみに立ち向かうには、こういうユーモアから栄養をもらうしかないのではないか、と思う。
寝る前に匿名ラジオを聞く。
最近は天気のよい日が続いている。新型コロナ騒動の救いをひとつだけ挙げるなら、それは事態の勃発時から日を追うごとに温かくなっていることだ。陽射しは人の心を前向きにする。もし感染の拡大ピークが真冬だったら、その精神的ダメージはいかばかりか。
そんなことを考えていたら、ひさしぶりにジョギングを再開したくなって、そうする。市立公園(Stadtpark)からドナウ川の支流沿いに。同好の士があちこちにいる。犬を連れた人もいる。
子どもが寝ついたあと、チェーホフの「犬を連れた奥さん」を読む。
(コロナ逡巡日記⑦に続く)
3月30日(月)
30日(月)15時現在,新たにオーストリア国内で841名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び22名の死亡事例が報告されました(累計確定症例数は9,377名(内死亡数:108名,治癒数:636名))。
(中略)
30日,クルツ首相及び関係閣僚は,新型コロナウィルス対策措置法(「COVID-19措置法」)に基づく封じ込め措置を実施して2週間が経過することから,記者会見を行い,現時点での中間報告及び同措置の強化を発表しました。
(1)専門家の報告書によれば,「基本再生産数」(一人から他人に感染する人数)が1.7である現状が続くことを想定した場合,オーストリアの医療システム,とりわけ集中治療体制は4月中旬に崩壊することとなる。このため,この人数を1未満に抑制し,中期的に0に近づけていかなければならない。崩壊を防ぐための時間はあまり残されていない。
(2)つまり,封じ込め措置は効果を上げているが,十分ではない。現状を考慮すると,当該措置を厳格化する必要がある。追加的に導入される措置は以下の3点である。
・ハイリスクの人々の保護を強化する。企業に対して,高齢者及び既往症がある者の出勤または職務の免除を義務付け,さらなる対応策を通じて病院職員,スーパーマーケットの従業員などを感染から保護する。また,政令でホテル,ペンションなどの宿泊施設での観光客に対する営業は停止される。
・封じ込め措置の履行を徹底する。これまで,封じ込め措置の違反による摘発件数は1万件を超えている。警察による取り締まりを強化し、違反者を厳しく摘発する。
・人々が接触するところでのマスク着用を促進する。十分なマスクが調達できたら,おそらく4月1日から,スーパーマーケットに入店するためにマスクの着用を義務付ける。その際,スーパーマーケットの入口でマスクを配布する。ただし,マスクを着用していても,人と人の間で最低1メートルの距離は保たなければならない。中期的には、スーパーマーケットのみならず、人と人のコンタクトが発生するすべての場所でもマスクを着用することを目指している。
(3) 封じ込め措置を緩和する時がきた場合,経済面を考慮し,まずは商店の開店から開始する。学校・大学の再開はその後である。
(中略)
30日,クルツ首相及び関係閣僚は,新型コロナウィルス対策措置法(「COVID-19措置法」)に基づく封じ込め措置を実施して2週間が経過することから,記者会見を行い,現時点での中間報告及び同措置の強化を発表しました。
(1)専門家の報告書によれば,「基本再生産数」(一人から他人に感染する人数)が1.7である現状が続くことを想定した場合,オーストリアの医療システム,とりわけ集中治療体制は4月中旬に崩壊することとなる。このため,この人数を1未満に抑制し,中期的に0に近づけていかなければならない。崩壊を防ぐための時間はあまり残されていない。
(2)つまり,封じ込め措置は効果を上げているが,十分ではない。現状を考慮すると,当該措置を厳格化する必要がある。追加的に導入される措置は以下の3点である。
・ハイリスクの人々の保護を強化する。企業に対して,高齢者及び既往症がある者の出勤または職務の免除を義務付け,さらなる対応策を通じて病院職員,スーパーマーケットの従業員などを感染から保護する。また,政令でホテル,ペンションなどの宿泊施設での観光客に対する営業は停止される。
・封じ込め措置の履行を徹底する。これまで,封じ込め措置の違反による摘発件数は1万件を超えている。警察による取り締まりを強化し、違反者を厳しく摘発する。
・人々が接触するところでのマスク着用を促進する。十分なマスクが調達できたら,おそらく4月1日から,スーパーマーケットに入店するためにマスクの着用を義務付ける。その際,スーパーマーケットの入口でマスクを配布する。ただし,マスクを着用していても,人と人の間で最低1メートルの距離は保たなければならない。中期的には、スーパーマーケットのみならず、人と人のコンタクトが発生するすべての場所でもマスクを着用することを目指している。
(3) 封じ込め措置を緩和する時がきた場合,経済面を考慮し,まずは商店の開店から開始する。学校・大学の再開はその後である。
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:3月30日」
リモートワークの日々。
子どもたちにもインドアの時間が続くけれど、さほどストレスは感じていないようだ。とくに6歳児と3歳児がお互いに遊んでくれるのは大いに助かる(ときどき暴力事件が発生し、政治的介入が求められたりするけれど)。
彼らの会話を聞くともなしに聞いていると、日本語と英語をそれぞれに使い分けていることに気づかされる。普段の会話は日本語だが、おままごとをしているとき(=自分以外の誰かを演じているとき)には英語になるのだ。
「Do you accept a credit card?」
「No, cash only」
「Help! There is a dinosaur in my house!」
「Run away!」
かつて私は、「息子が英語を話しはじめた」の記事で、「言語と人物を1対1に対応させる」語学教育について書いた。翻って息子たちの場合は、いわば「言語と会話のシチュエーションを対応させている」のであった。
3月31日(火)
墺連邦保健省によれば,31日(火)15時現在,新たにオーストリア国内で597名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び20名の死亡事例が報告されました。これでオーストリアにおける確定症例は9,974名(内死亡数:128名,治癒数:1,095名)となります。
(中略)
31日,ファスマン教育相は記者会見を行い,学校や大学をいつ再開するか確実なことは言えないとしつつ,4月中に再開することは現実的ではないとの見方を示しました。また,大学については最低履修期間の延長を検討しているとのことです。
(中略)
31日,ファスマン教育相は記者会見を行い,学校や大学をいつ再開するか確実なことは言えないとしつつ,4月中に再開することは現実的ではないとの見方を示しました。また,大学については最低履修期間の延長を検討しているとのことです。
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:3月31日」
引っ越し業者にWhatsAppでリモート見積もりをしてもらう。
こういう経験は初めてで緊張するが、やってみたらなんとかなった。いま住んでいるアパートは家具付き(fully furnished)で、引っ越しの対象物もすべて段ボールに収まる。見積もり自体は難しくない。「ずいぶん少ないですね」と業者さんも言っていた。
奥さんも私も「荷物は少なく、借り暮らしで生きていく」方針で一致している。それ以外の価値観はおおむね不一致なのだが…。
この日は一歩も外へ出なかった。
4月1日(水)
1日(水)15時現在,新たにオーストリア国内で508名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び18名の死亡事例が報告されました(累計確定症例数は10,482名(内死亡数:146名,治癒数:1,436名))。
(中略)
1日,スーパーマーケット等におけるマスク着用義務等の墺政府通達が出されました。詳細は以下のとおりです。
通達「食料品を扱う従業員への保健面での要請の徹底についての指針及び小売販売店の衛生規定」
(1)以下の本指針,オーストリア食品安全・消費者保護法及びEU一般衛生規則に基づく指針を守ることを義務付け,企業の責任によりこれを履行する。
(2)飛沫感染を防ぐために,スーパーマーケット及びドラッグストアーの従業員は防護装備(当館注:マスクなど)を着用する。
(3)顧客が防護装備を持参していない場合,可能になり次第,顧客に防護装備を無料で配布する。
(4)従業員は店内で手袋を装着する。
(5)店舗入口にプッシュ式消毒液を備える。
(6)買い物カートの接触部分は使用後に毎回消毒する。
(7)店内で顧客が接触する部分は定期的に洗浄,消毒する。
(8)従業員が対応するレジはアクリル製のガラスで保護する。
(9)レジで人と人の1メートル間隔を保つために床に表示をする。
(10)店舗は同間隔を保つことが可能な構造にする。
(11)買い物カートを同間隔維持のために利用する。
(12)同間隔維持のために同時に入店可能な顧客の人数を制限し,制限人数に達した場合,店舗を出た人数分のみ新たな入店を許す。
(13)従業員は顧客に非接触決済を推奨する。
(14)症状がある顧客は入店できないことを表示する。
(15)面積が400平米未満の店舗には以上の本指針は適用しない。
(16)本指針は迅速に遅くとも4月6日までに実施する。
(中略)
1日,スーパーマーケット等におけるマスク着用義務等の墺政府通達が出されました。詳細は以下のとおりです。
通達「食料品を扱う従業員への保健面での要請の徹底についての指針及び小売販売店の衛生規定」
(1)以下の本指針,オーストリア食品安全・消費者保護法及びEU一般衛生規則に基づく指針を守ることを義務付け,企業の責任によりこれを履行する。
(2)飛沫感染を防ぐために,スーパーマーケット及びドラッグストアーの従業員は防護装備(当館注:マスクなど)を着用する。
(3)顧客が防護装備を持参していない場合,可能になり次第,顧客に防護装備を無料で配布する。
(4)従業員は店内で手袋を装着する。
(5)店舗入口にプッシュ式消毒液を備える。
(6)買い物カートの接触部分は使用後に毎回消毒する。
(7)店内で顧客が接触する部分は定期的に洗浄,消毒する。
(8)従業員が対応するレジはアクリル製のガラスで保護する。
(9)レジで人と人の1メートル間隔を保つために床に表示をする。
(10)店舗は同間隔を保つことが可能な構造にする。
(11)買い物カートを同間隔維持のために利用する。
(12)同間隔維持のために同時に入店可能な顧客の人数を制限し,制限人数に達した場合,店舗を出た人数分のみ新たな入店を許す。
(13)従業員は顧客に非接触決済を推奨する。
(14)症状がある顧客は入店できないことを表示する。
(15)面積が400平米未満の店舗には以上の本指針は適用しない。
(16)本指針は迅速に遅くとも4月6日までに実施する。
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:4月1日」
今日から、スーパーマーケット等でマスクの無料配布があるらしい。
好奇心から行きつけのBILLAに足を運んでみると、なるほど、
たしかに店員さんがマスクを配っていた。これはありがたい。
入り口の近くにいる物乞いの人にも配られていた。優しいBILLAの店員さんだ。
(2日後に再訪したら、もうマスクは配ってなかった。たぶん在庫が切れたのだ)
4月2日(木)
2日(木)15時現在,新たにオーストリア国内で485名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び12名の死亡事例が報告されました(累計確定症例数は10,967名(内死亡数:158名,治癒数:1,749名))。
2日,オーストリア航空は,同社定期便の運休を5月3日まで延長する旨発表しました。
2日,オーストリア航空は,同社定期便の運休を5月3日まで延長する旨発表しました。
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:4月2日」
3月16日にオーストリア政府が外出制限をかけてから、約2週間が経った。
WHOによれば、新型コロナウィルスの潜伏期間は約2週間以内とされている。つまり、今回の「政策効果」を一次検証するには適切なタイミングと言える。
オーストリア国内を対象として、感染者の「前日と比べた増加分」をグラフ化してみる。
なるほど、たしかに外出制限がコロナ感染者の急増を抑えたと言えそうではある。
そしてこれは偶然だろうけど、オーストリアと同じく3月16日に外出禁止令を発したサンフランシスコ市も、米国内の他地域に比べて感染者を有意に抑え、ひとつの成功事例として捉えられている。(日本でも北海道が早期に外出自粛を呼びかけ、一定の効果を上げていた)
「早めの外出禁止/規制/自粛が功を奏する」とのコンセンサスが出来つつあるのはよいとして、ここで私の頭に去来するのは、「どのタイミングで、どのような基準に拠って、その制限を解除するべきなのか」の問いである。
2011年に起きた福島第一原子力発電所の過酷事故では、冷温停止状態という明確な区切りが設けられた。それによって事故が収束されたとする日本政府の見解には異論もあったが、冷温停止状態の定義(=原子炉圧力容器の底部が100℃以下を保ち、かつ放射性物質の外部放出が抑えられた状態)は、客観的に測定可能なものだった。
これに対して、新型コロナの蔓延は、何をもって収束(終息)したと判断できるのか。
①WHOなどの国際機関が統一見解を出すべきなのか?
⇒ 各国の被害状況の多様性を鑑みて、そのような統一見解に意味があるのか…?
②国内感染者数の「増加分」がゼロに漸近するタイミングか?
⇒ 毎日の感染者数が高止まりした状態でもOKなのか…?
⇒ 感染者数の「多い/少ない」はどう判断すればよいか…?
⇒ 流行の「第二波」が起こるリスクをどう評価すべきか…?
③「集団免疫の獲得」や「有効なワクチンの開発」まで待つべきか?
⇒ それはいつなのか、それまで国内経済は持ちこたえられるのか…?
いま私が推察しているのは、ソリッドな科学的根拠には頼らずに(頼れずに)、上記「②」をトリガーとして外出規制等を解除する動きが目立ってくるのではないか、ということだ。
寝る前に、沼野充義先生の最終講義をYouTubeで聞く。ウラジーミル・サンギの小説を読みたくなった。
4月3日(金)
3日(金)15時現在,新たにオーストリア国内で416名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び10名の死亡事例が報告されました(累計確定症例数は11,383名(内死亡数:168名,治癒数:2,022名))。
(中略)
1日,墺社会・保健・介護・消費者保護省は,新型コロナ感染症対策のため,6人以上の集会を禁止するよう求める通達を各行政区長宛てに発出しています。概要は以下(1)のとおりです。
また同省は,同2日,飲食店への客の立ち入り禁止に関して,テイクアウトの受け取りを例外とする規定,及び3月30日付記者会見で予告したとおり,新たにホテル等への立ち入り禁止を定める規定を含む省令を官報に掲載しています。概要は以下(2)のとおりです。
(1)1日付通達(6人以上の屋内集会の禁止)
・各行政区は,伝染病法第15条(行政区による人の集まりの禁止措置)に基づき,同世帯ではない5人より多数の者が参加する屋内集会を禁止すること。その際,葬儀は近親者内10人,結婚式は5人の参加者を限度に実施することが許される。公共組織・団体,治安・軍当局,救急・消防組織,託児施設,国際法上の義務や職務に基づくもの,交通機関,生活に必要な店舗・施設等には適用しない。
・この通達を受け,各行政区は同日付で条例を発する。(適用期間は13日まで)
(当館注:違反者に対して,各行政区は,伝染病法第40条に基づき,行政罰(最高1,450ユーロの罰金または罰金を支払わない場合に最高4週間の自由刑)を科すことが可能です。)
(2)2日付省令
・薬局や食料品店等以外の商店への立ち入り禁止の例外としてのテイクアウト注文の許可(13日まで)
飲食店において,その場で飲食せず,他人と1メートル以上の距離を維持できる限り,注文した食品の持ち帰りを許可する。
・ホテル等への宿泊客の立ち入り禁止(24日まで)
(ア)静養や余暇利用を目的とした宿泊施設への立ち入りは禁止。
(イ)宿泊施設は,有償又は無償を問わず,一時的な滞在のために宿泊客を宿泊させることを目的としたものを指し,キャンプ場,キャラバンサイト,避難所を含む。
(ウ)当該規定は,以下の宿泊については適用しない。
・施行時に既に契約済の宿泊期間中の宿泊
・要支援者の介護・援助を目的としたもの
・職業上の理由を有するもの
・緊急の住宅ニーズを満たすために行われるもの
(中略)
1日,墺社会・保健・介護・消費者保護省は,新型コロナ感染症対策のため,6人以上の集会を禁止するよう求める通達を各行政区長宛てに発出しています。概要は以下(1)のとおりです。
また同省は,同2日,飲食店への客の立ち入り禁止に関して,テイクアウトの受け取りを例外とする規定,及び3月30日付記者会見で予告したとおり,新たにホテル等への立ち入り禁止を定める規定を含む省令を官報に掲載しています。概要は以下(2)のとおりです。
(1)1日付通達(6人以上の屋内集会の禁止)
・各行政区は,伝染病法第15条(行政区による人の集まりの禁止措置)に基づき,同世帯ではない5人より多数の者が参加する屋内集会を禁止すること。その際,葬儀は近親者内10人,結婚式は5人の参加者を限度に実施することが許される。公共組織・団体,治安・軍当局,救急・消防組織,託児施設,国際法上の義務や職務に基づくもの,交通機関,生活に必要な店舗・施設等には適用しない。
・この通達を受け,各行政区は同日付で条例を発する。(適用期間は13日まで)
(当館注:違反者に対して,各行政区は,伝染病法第40条に基づき,行政罰(最高1,450ユーロの罰金または罰金を支払わない場合に最高4週間の自由刑)を科すことが可能です。)
(2)2日付省令
・薬局や食料品店等以外の商店への立ち入り禁止の例外としてのテイクアウト注文の許可(13日まで)
飲食店において,その場で飲食せず,他人と1メートル以上の距離を維持できる限り,注文した食品の持ち帰りを許可する。
・ホテル等への宿泊客の立ち入り禁止(24日まで)
(ア)静養や余暇利用を目的とした宿泊施設への立ち入りは禁止。
(イ)宿泊施設は,有償又は無償を問わず,一時的な滞在のために宿泊客を宿泊させることを目的としたものを指し,キャンプ場,キャラバンサイト,避難所を含む。
(ウ)当該規定は,以下の宿泊については適用しない。
・施行時に既に契約済の宿泊期間中の宿泊
・要支援者の介護・援助を目的としたもの
・職業上の理由を有するもの
・緊急の住宅ニーズを満たすために行われるもの
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:4月3日」
食材が切れてきたのでLili Markt(新华朕超市)に行く。この店では、進駐軍のDDT散布みたいに来店者の頭にアルコールをぶっかけると聞いていたが、この日は両手にスプレーをするのみだ。普通の対応で、ちょっと期待外れである。
これまで私は、「日本人の出張者に対して当方からお土産を指定する」という神経の太いアプローチで物資調達をこなしてきた。成田空港の売店で千円くらいのよくわからないお菓子を買われるよりは、永谷園のお茶漬けとか、ソフトサラダとか、粉末コーンスープとか(これが意外にも売ってないのだ)、そうした相対的な貴重品を頂くほうが双方にとってWin-Winではないかと、私は以前から関係者に申し伝えていたのだ。
いま私が最も欲しているのはごま油だが、当然ながら日本からの来客は叶わない。どうすればよいか。ウィーンにおいては高級品であるそれを、値札から目をそらすようにして買い物かごに入れるほかはないのである。
4月4日(土)
4日(土)15時現在,新たにオーストリア国内で282名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び18名の死亡事例が報告されました(累計確定症例数は11,665名(内死亡数:186名,治癒数:2,507名))。
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:4月4日」
6歳児の小学校のクラスメートたちに、ビデオ会議でおしゃべりをする時間が設けられる。ずうっと何かを話している子どもと(予想どおり女の子が多い)、シャイになって無口になる子どもに分かれる。我が息子はどうやら後者のようである。
幼稚園で一緒だったトルコ人の女の子に、奥さんが気を利かせて写真つきのバースデイ・メッセージを送っていた。この家族とは、お互いの自宅に招き招かれた関係である。お父さんはトルコ外務省に勤める外交官。私としては、今度お会いするときに北キプロス(世界でトルコしか承認していない国家)に対するカジュアルな見解を伺いたかったが、これも新型コロナのために難しくなってしまった。
北杜夫の短篇小説集「天井裏の子供たち」を読む。精神病院で気狂いの人たちが映画制作に励む「もぐら」がいい。世界の哀しみに立ち向かうには、こういうユーモアから栄養をもらうしかないのではないか、と思う。
寝る前に匿名ラジオを聞く。
4月5日(日)
墺連邦保健省によれば,5日(日)15時現在,新たにオーストリア国内で242名の新型コロナウイルス(COVID-19)感染の確定症例及び18名の死亡事例が報告されました。これでオーストリアにおける確定症例は11,907名(内死亡数:204名,治癒数:2,998名))となります。
引用:在オーストリア日本大使館「新型コロナウィルス関連情報:4月5日」
最近は天気のよい日が続いている。新型コロナ騒動の救いをひとつだけ挙げるなら、それは事態の勃発時から日を追うごとに温かくなっていることだ。陽射しは人の心を前向きにする。もし感染の拡大ピークが真冬だったら、その精神的ダメージはいかばかりか。
そんなことを考えていたら、ひさしぶりにジョギングを再開したくなって、そうする。市立公園(Stadtpark)からドナウ川の支流沿いに。同好の士があちこちにいる。犬を連れた人もいる。
子どもが寝ついたあと、チェーホフの「犬を連れた奥さん」を読む。
(コロナ逡巡日記⑦に続く)
コメント
旅行記から子連れお出掛け情報までいつも楽しく拝読しております。
実のところ、日本での外出自粛要請に伴い家での時間が増え、こちらのブログの過去の記事を読み返させていただいております。(ハルシュタット、やはり良いところですよね)
このような状況ですので、なかなか先が見通せず大変な思いをされているかと思いますが、どうかお身体に気をつけてお過ごし下さい。
オーストリアはいまヨーロッパで最も感染抑制に成功した国とされており、いち早く実験的な規制緩和のフェーズに入っております(EU諸国の足並みを乱しているとの見方もあります)。小規模店舗に次いで、来月からは博物館なども再開されるとの由。いまだ予断は許しませんが、そうした日々を「コロナ逡巡日記」で綴っていこうと思います。
拙ブログの過去記事を読み返されているとは、深くご愛顧いただき感謝です。ハルシュタット、懐かしいです。