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イランの「お伊勢まいり」で雑踏に溶け込む(マシュハド)

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航空機を愛する者にとって、イランは大いなる天国である。  というのは、イランの航空会社は(経済制裁を云々する以前から)オールディーズな機材を運用していることで有名だからだ。  ひとつ例を挙げよう。  ボーイング社が1964年に世に送り出した B727 。この伝説の3発機(=お尻にエンジンを3つ着けた飛行機)は、イランの アーセマーン航空 が最近まで「世界で唯一」の運航会社だった。しかし、2019年1月、 ついに退役してしまう 。これに間に合った航空ファンに、私は憧憬の念を抱いている。  今回の旅では国内線に搭乗する予定が3回あった。うち1回はキャンセルの憂き目をみたが、「テヘラン発イスファハーン行き」と「テヘラン発マシュハド行き」の便には無事に乗ることができた。  そしてそのどちらもが、なかなかに峻烈な体験であった。 ※ これは 「世界の半分」でフライトキャンセルに喘ぐ(イスファハーン) の続篇ですが、この記事だけを読まれても特に支障はありません。 国内線の空港。子どもの遊び場もちゃんとある イスファハーン行き、ATR72-600 イスファハーン行きの機体は、 ATR72-600 であった。私はこのプロペラ機が好きで、組み立ての工程を見るためだけに ナポリ に行ったことがある。猫がのんびりと敷地内を歩く、イタリアらしい大らかな構えの素敵な工場だった。  ATRシリーズの機体はいまでも世界中で飛んでいて、とりたてて珍しいわけではない。でも 着陸する前に左エンジンが停止した のにはシビれた。出発時からすでにちょっと怪しかったが(プロペラの回転数が明らかに足りていなかった)、まさか完全に止まるとは。航空ファンにとってイランは天国だが、本物の天国にはまだ行きたくない。  私の祈りはどうにか通じて、右側のプロペラだけでも機体は前方に進み、やや強めのバンプとともに滑走路に接地した。自然発生的に、機内で拍手が巻き起こった。  着陸時に乗客が拍手するのは、 旧ソ連圏 でもしばしばみられる。旅行者をイイ感じに不安にさせつつ、「いまここに生きていることの僥倖」をリマインドさせるすばらしい文化だ。 空港にある理髪店。待ち時間に散髪するのはなるほど合理的だ マシュハド行き、B747-300 マシュハド

ウィーン空港から市内へは、普通電車Sバーンがより安い

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この記事のポイント ・ウィーン空港から市内への「足」は、普通電車 Sバーン がおすすめ ・Sバーン(片道4.2ユーロ)は、特別電車 CAT (片道12ユーロ)と所要時間に大差なく、車内も快適 ・数日間乗り放題のチケットを買うのもあり まえがき ありがたいことに、最近、ウィーンを訪ねてくる人が増えてきた。  仕事でお世話になった方。悪事を一緒に働いた輩。ブログを読んで私に会おうとされる人。その背景はさまざまだ。  どうしても都合がつかずに謝絶するケースもあるのだが(例:いまはスリランカの コロンボ で本稿を書いている。1ヶ月半前に爆破テロ事件があった場所だ)、「来る者は拒まず」が私の基本ポリシーだ。去る者についてはケースバイケース。  ウィーン初訪問の向きには、ブログの記事(例: 「三賢人に聞く、ウィーンで豊かに暮らす方法」 、 「でもウィーンにいるなら、クラシック音楽をやはり聴きたい」 )を紹介することもある。けれども標題のトピックについては、まだ一度も記していなかった。  そういうわけで、今回は「ウィーン空港から市内への行き方」についてご案内します。 【選択肢①】タクシー(約50ユーロ) あなたがスーツケースの山に囲まれて、さらに物理学でいう ブラウン運動 の挙動を示す元気な子ども(たち)を従えている場合、タクシーは有力な選択肢となるだろう。  ウィーン空港はさほど大きくない。出口からすぐに乗り場が見つかるはずだ。タクシー業者の出入りはしっかり管理されているようで、ぼったくりの被害もまるで聞かない。  市内中心部への相場は約50ユーロ。ちなみに Uber でもほぼ同じ料金である。 【選択肢②】徒歩(0ユーロ) 資本主義からの脱却を目指したいあなたには、「徒歩」という選択肢も捨てがたい。私の旧来の友人であるG・M君(Google Map君)によれば、ウィーン空港からシュテファン大聖堂までは徒歩で約4時間。  道中にはOMV社の巨大な 石油精製所 があり、楽聖が眠る 中央墓地 があり、美しく青き ドナウ=アウエン国立公園 もある。ほとんど無人の緑地帯を抜け、あるポイントから繁華なる建築群がにわかに立ち現れるのを歩き見て、あなたはきっと、古都ウィーンの創生を追体験することだろう。  状況が許せば、