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9月, 2018の投稿を表示しています

ザ・ベスト・オブ・子連れに優しい街である(ヘルシンキ)

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フィンランド滞在中は、移動にお金がかからなかった。  空港から 電車 に乗って、  市内では トラム(路面電車) に乗って、  郊外の森まで バス で行って、  近くの島まで フェリー で行った。  だが、私は金銭を払わなかった。  1円も。1ユーロも。  これはどういうことか。  電車やバスの外壁にしがみついて、不正乗車をしたのか。  フィンランド国王のコネを使って、王族待遇だったのか。  そうではない。  (そもそもフィンランドは王制国家ではない)  私がお金を払わなかった理由。  それは、ベビーカーを携えていたからだ。  そう、ヘルシンキでは、ベビーカー連れの親子は、 公共交通機関の運賃が無料 なのである。   フェリーのチケット売場。 「ベビーカー+おとな=0ユーロ」 とある 中国の銀行員がぐいぐいきた この話に興味を示したのが、1泊14,900円のアパートホテル 「Forenom Apartments」 のサウナ(フィンランドにはどこでもサウナがあるという話は本当だった)で知り合ったCさんだ。  彼は北京出身の銀行員で、ヘルシンキで開かれる「世界銀行会議」みたいなものに参加しているとのことだった。  2018年の夏は、世界各地で焼けつくような猛暑で、だけど8月のヘルシンキは涼しくて最高だよね、みたいな雑談をした。これにつなげて、例の「ベビーカーがあれば運賃無料」の件に私が触れると、Cさんはたちまち食いついてきた。  「僕もベビーカーを持っている。だから僕も無料ってことか」  「Cさんは出張で来ていると伺いましたが、ベビーカーはありますか」  「いや、ベビーカーは北京にあるんだ。それでは駄目かな」  「担当の係員に問い合わせされてはいかがか」と、私は明言を避けた。  フィンランドもすごいが、中国の銀行員もすごかった。 VR(フィンランド鉄道)のロゴが、日本の「JR」になぜか似ている 子連れでも行き先に困らない ヘルシンキには1週間ほど滞在した。日帰りでタリンに行ったのを除けば、実質6日である。  下調べもせず、ほぼ無計画で到着したのだが、私も息子たちも、まったく退屈しなかった

航空機を愛するが客船も気になる、この気持ちを何と呼ぶ

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昨年の秋、イギリスに住むKさんがウィーンに遊びにきてくれた。  私より少しく年長のKさんは、日本で最高の理工系大学を卒業して、日本の重工メーカーに採用された。爾後、紆余曲折あってイギリスの重工メーカーに転職し、いまでは(1個あたり数億円の付加価値を持つ)ある大型部品の設計責任者という大役を担っている。  Kさんは、学生時代にウィーンの国際機関でインターンをしていた。だから私よりもずっとウィーンに詳しい。とりわけ「安くて怪しくてうまい店」に通暁している。  その夜、Kさんが選んだお店は 「7Stern Bräu」 。名物の大麻ビール(幻覚作用のない合法のビール)を2人でしこたま痛飲し、実に6時間以上も会話をたのしんだ。  日英の重工メーカーの意思決定システムにはどのような相似と相違があるのか。  最近の政策イシューはもはや霞が関の問題解決能力を超えているのではないか。  カトリックとプロテスタントと正教会の違いは欧米社会にどう影響しているか。  古代ローマ帝国という存在は欧州人の精神性にどれほど深く結びついているか。  会議中にうんこを漏らしても周囲にばれないようにするにはどうすればよいか。    そのような重要テーマが展開されるなかで、「Kさんがウィーン時代に生き急ぐようにしてたのしんだ外国旅行」という話にも及んだ。  「ぼくの場合はひとり旅でしたが、東西南北、あちこち行きました」  「ウィーンから見ると、たしかにどの方角にも何かしらありますよね」  「でもね、Satoruさん。僕がいちばんおすすめしたいのは、 客船旅行 なんです」  「日経新聞で『地中海クルーズ10日間!』みたいなシニア向けの広告をよく見ます」  「そうそう。だけどヨーロッパのクルーズの世界は、もっと種類が多くて奥深いんです」  「でも、お高いんでしょう?」と、私はTVショッピングの司会者のような発言をした。  「いえいえ、安心なさってください!」と、KさんもTVショッピングの人になった。 うんこのサプライチェーン Kさんによれば、クルーズとひとくちに言ってもその客層はさまざまである。  それこそフェリーニの「甘い生活」のように退廃的な船上生活をたのしむ セレブリティ層 から、最下等クラスながら他の交通手段に比べれば快適な貧乏旅