バカにゆられて夕陽は沈む(コートジボワール)
デイリーポータルZで、「バカをつかまえろ」という旅行記を書いた。
あの記事では、コートジボワールの乗り物を紹介する体裁をとった。へちまを育てるときに支柱を立てるように、なにかひとつ軸を据えないと収拾がつかない恐れがあったからだ。
とはいえ、電車、バス、バカのほかにも公共の乗り物は存在するので、あの稿が(乗り物にフォーカスしたにせよ)いささか片手落ちとの自覚はある。たとえば、アビジャンの潟を走る水上バスには、「正規」と「非正規」が奇妙なかたちで共存しており、駅の近くには見棄てられた漁民たちのスラムなどもあるらしい。
しかし、誰にも平等な時間の制約がそこにはあった(ヤムスクロとグラン・バッサムがそれぞれ一日がかりの旅だったのも大きい)。アビジャン郊外にあるという「ものすごく寂しい動物園」にも、残念ながら今回は行けなかった。
ご関心のある読者におかれては、リスクと好奇心を天秤にかけたうえで、訪問を検討されてみてはいかがだろう。
以下、まとまりのないアウトテイクスとして、写真に短文を添える形で現地の空気をお伝えしたい。この先もずっと、太陽と生命の熱波を浴びつづける宿命を持った土地の空気を。
コートジボワールを旅行する人へのアドバイス。
この国には、どういうわけか両替商がほとんど見当たらない。往来に待ち伏せする闇両替の姿すらない。持参したガイドブック「Lonely Planet Africa」にもそんなことは一言も書いていなかったのだが、これは私の観察したファクトであった。トーゴともベナンともナイジェリアとも、いや、私がこれまでに訪れたどの国とも異なる状況であった。
それで我々はどうしたかというと、市街の銀行を訪れた。銀行はどれもセキュリティが異様に厳重で、さんざん並ばされたあとに「外国人の両替は不可」みたいな感じでけんもほろろに追い出されることが数回あった。
最終的に我々が選んだのは、アビジャン銀行(Banque D'Abidjan : BDA)本店であった。たかが両替ごときでこんなに大仰な建物を訪ねるのは不適当であるようにも思えたがーーそして銀行員のお姉さんは、オフィスに闖入したアジア人の両替客を認めて明らかに困惑されていたがーーこれは行動としては大正解であった。お姉さんは、いかにもエリート層らしい礼儀正しさで、しわくしゃのユーロ札をセーファーフラン札に兌換してくださったのだ。
後続の旅行者に向けて、私はここに2点の示唆を小さく添えたい。
・尋常ならざる行列を避けるため、朝イチの営業開始直後に訪ねること。
・500セーファーフラン札などの細かい紙幣を大量にもらうよう要求すること。
あの記事では、コートジボワールの乗り物を紹介する体裁をとった。へちまを育てるときに支柱を立てるように、なにかひとつ軸を据えないと収拾がつかない恐れがあったからだ。
とはいえ、電車、バス、バカのほかにも公共の乗り物は存在するので、あの稿が(乗り物にフォーカスしたにせよ)いささか片手落ちとの自覚はある。たとえば、アビジャンの潟を走る水上バスには、「正規」と「非正規」が奇妙なかたちで共存しており、駅の近くには見棄てられた漁民たちのスラムなどもあるらしい。
しかし、誰にも平等な時間の制約がそこにはあった(ヤムスクロとグラン・バッサムがそれぞれ一日がかりの旅だったのも大きい)。アビジャン郊外にあるという「ものすごく寂しい動物園」にも、残念ながら今回は行けなかった。
ご関心のある読者におかれては、リスクと好奇心を天秤にかけたうえで、訪問を検討されてみてはいかがだろう。
以下、まとまりのないアウトテイクスとして、写真に短文を添える形で現地の空気をお伝えしたい。この先もずっと、太陽と生命の熱波を浴びつづける宿命を持った土地の空気を。
アビジャンの人口は約400万人とのことだが、体感ではその倍くらいはいそうだ。出生しても役所に届けないケースが多いのではないか。(トルクメニスタンと好対照な気がした) |
西アフリカ地域にはマラリア感染のリスクがある。アビジャン在住者のアドバイスを受けて、高濃度(DEET 30%)の蚊よけスプレーを現地薬局で買った |
ブロックに色を塗って三角コーンの代わりとしていた(地方でも見かけた) |
路上のキオスクは品揃え豊かで、「TIME」「Harvard Business Review」もあればポルノ雑誌もある(ポルノの対象はなぜか白人女性が多かった) |
致死的な病の兆候がみられる野良犬。こういうのに噛みつかれると、人生の終わりが急ピッチでやってくる |
アビジャン市街のサンパウロ大聖堂。イタリア人の建築家(Aldo Spirito)によるモダンな設計 |
訪問時にちょうどミサをやっていた。日陰を求めて人びとが集まっていた |
教会関係者が「袋水」を無料で配っていた |
許可を得て内部を撮影させてもらった |
ステンドグラスに描かれる人物もアフリカ系だ |
教会の中でも扇風機は欠かせないアイテムのようだ |
公衆トイレは開放的な空間設計だった |
ここも教会の敷地内ではある |
コートジボワールを旅行する人へのアドバイス。
この国には、どういうわけか両替商がほとんど見当たらない。往来に待ち伏せする闇両替の姿すらない。持参したガイドブック「Lonely Planet Africa」にもそんなことは一言も書いていなかったのだが、これは私の観察したファクトであった。トーゴともベナンともナイジェリアとも、いや、私がこれまでに訪れたどの国とも異なる状況であった。
それで我々はどうしたかというと、市街の銀行を訪れた。銀行はどれもセキュリティが異様に厳重で、さんざん並ばされたあとに「外国人の両替は不可」みたいな感じでけんもほろろに追い出されることが数回あった。
最終的に我々が選んだのは、アビジャン銀行(Banque D'Abidjan : BDA)本店であった。たかが両替ごときでこんなに大仰な建物を訪ねるのは不適当であるようにも思えたがーーそして銀行員のお姉さんは、オフィスに闖入したアジア人の両替客を認めて明らかに困惑されていたがーーこれは行動としては大正解であった。お姉さんは、いかにもエリート層らしい礼儀正しさで、しわくしゃのユーロ札をセーファーフラン札に兌換してくださったのだ。
後続の旅行者に向けて、私はここに2点の示唆を小さく添えたい。
・尋常ならざる行列を避けるため、朝イチの営業開始直後に訪ねること。
・500セーファーフラン札などの細かい紙幣を大量にもらうよう要求すること。
この500フランの札束に救われた |
アジャメ地区は活気があってたのしいが、そのぶん治安リスクも高い |
この路上の汚さは世界でも有数だろう |
爆音のスピーカーが売れ筋商品のようだった |
どのお店のパンもおいしかった。旧宗主国フランスの影響だろうか |
ヤムスクロに向かう長距離バスの休憩地 |
ヤムスクロ大聖堂は森に囲まれていた |
バカ |
バカ |
冷房の効いた店は少ない。ガソリンスタンド併設の売店は貴重な休憩スポットである |
ゴキブリ・ネズミを殺す薬を路上で売っていた |
コンドームは1個250フラン(約45円) |
バカに乗ってグラン・バッサムに行く |
人びとの顔つきは(アビジャンよりもずっと)穏やかだ |
リゾート地の面影はたしかにある |
樹々の生命力が廃墟を覆う |
バカにゆられて夕陽は沈む |
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