1週間の旅行グッズは「40x30x20cm」に詰め込める
旅行の荷物は、どう選ぶべきか。何が必要で、何がいらないか。
これは、数多くの先人たちが意見を具してきたテーマである。
使い慣れたアイテムをできるだけ持ち込む「詰め込み派」。
パスポートとスマホさえあれば良しとする「ミニマル派」。
帝国主義打倒・スターリン主義打倒を掲げる「革マル派」。
そこには、それぞれの哲学があり、思想があった。ときに派閥間の武力衝突が起こったり、起こらなかったりした。
こうしたおそるべき状況にあって、私はミニマル派寄りの個人主義を奉ずる者だ。
この派閥は、「荷物は少ないのが良いと思う。でもまあ、これは《良い悪い》じゃなくて《好き嫌い》の世界だよね」と、いささか軟派な発言をみせることで知られている。
そんなわけで、私が以下に陳述する事柄は、頭から尻尾まで趣味の領域に属する話である。この意見に与しない読者諸氏を排斥しよう、などといった意図はみじんもない。
逆もまた然り。本稿を一読後、「お前の意見は間違いだ」「お前の人間性には問題がある」などと石を投げるのはご遠慮ありたい。繰り返すが、これは単なる《好き嫌い》の話なのだ。
これを紛失すると、かなりキツめの展開が待っている。私はいくつかの例を知っているが、「一時帰国」「外務省」「叱責」というキーワードがいずれにも登場した。
ヨーロッパ在住者は、シェンゲン域内ならパスポートなしで移動可能である。でも私の経験からすると、「非白人」に提示を求めるケースもあるから要注意だ。私は何度か忘れて、国連職員の身分証(Legitimation Card)で窮地をしのいだ。
ちなみに、国連職員にはレセパセ(Laissez-Passer)という外交官旅券が与えられるが、
これといった特権はなく、私用に供することもできないので(当たり前だが)、特にうらやむ必要はない。むしろトラブルを招くケースもあって、たとえばレセパセのみを携行してロシアを訪れた私は、空港で入国拒否をされてしまった。
このときは揉めに揉めて、最終的にはなんとか入国できたのだが(ビザの保証元が国営企業だったのも功を奏した)、拙稿をお読みの国連職員各位には、念のためご自身の国が発行した旅券を懐に忍ばせておくことをお薦めしたい。というか、私は同僚からそのようにアドバイスされたのを失念していたのだった・・・。
たとえば、旅先でシタールを演奏する。火吹き芸を披露する。コーヒー豆農園で労働契約を締結する。こういった行為によって、現地でお金を稼ぐ方法はいくらもある。
だが、子連れの旅でそれを求めるのは難しい。なにか別のニュアンスも生まれてきそうだ。そういうわけで、やはりお金は必要である。
(日本にお住まいの方は、世界的にも珍しい穴の開いた硬貨「5円玉」を持参すると、現地で仲よくなった人への手ごろなプレゼントにもなる)
移動中にお金をどこにしまうか。これも悩ましいテーマである。
私は、高城剛の名著「LIFE PACKING」にあった「びわ茶の袋に現金をしまう」アイデアを参考にした。泥棒に入られても、まさかこの中にお金があるとは思うまい、というわけだ。
そこで我が家では、キットカットの小箱をバックパックの深奥部にしのばせている。
私はウクライナ旅行で(唯一)これを怠り、そうしてスリに遭って全所持金を失った。これを書いている1週間前のことだ。後悔が下腹部を貫き、直腸にまで差し込んでくるが、もはやどうにもならない。そして時間を巻き戻す技術はまだ発明されていない。月は東に日は西に。
現金の置き場所は分散化させるべき、という話でした。
でもこれこそ《好き嫌い》の世界の話で、私にとって肛門まわりの快適性(QOA:Quality of Anal)は、食事や睡眠と同じくらい大事なイシューなのである。
私の愛機は、TOTOの携帯ウォシュレット YEW350。
あまりに好きすぎて、この6年間で3台も買ってしまった。まったく同じ機種を3台もだ。
この作品――「商品」ではなく、あえて「作品」と呼びたい――の優れた点は、なによりもコンパクトであることだ。
パスポートと大きさを比べてみても、
だいたい同じくらいの「背の高さ」だ。
パスポートでお尻をきれいにしようとしたら、これは大変なことになる。でも携帯ウォシュレットならいつでも大丈夫。この安心感はただごとではない。
もうひとつの長所は、本機が単3電池1本だけで動くことだ。
ここでのポイントは「単3電池」で、なぜなら別名「AA Battery」は海外でも比較的容易に手に入るからだ。コンセントがどうとか、プラグがどうとか、いちいち悩まなくてもよいのがありがたい。
私の思うところ、「乾電池だけで動くかどうか」というのは、旅行グッズを選ぶうえで重要な判断基準である。
(⇒ 同じ理由でブラウンの携帯電気シェーバー M-90も最高の逸品。これも私は3台買った)
翻って、携帯ウォシュレットの欠点は、ヨーロッパ社会でまったく認知されていないということだ。そもそも「ウォシュレット」が通じない。それはTOTOの商品名に過ぎないからだ。
そういうわけで、これを持っていると空港の手荷物検査でしばしば引っかかる。ミュンヘン空港で覚せい剤の吸引機と間違われ、あやうく別室に連れていかれそうになったこともある。まあこれは検査官に「この器具は何に使うものか?」と詰問されて、とっさに「お尻を気持ちよくするものだ」と答えてしまった私もよくなかったのだが。
いや、おれにはバッグなど無用だ、とうそぶき、サミットのビニール袋ひとつで海外に行くのを常とする剛の者が、私の知り合いにいた。彼の名を仮に山岡としよう。
「一般人とは異なる価値観を持ったユニークなキャラクター」を自己演出しがちな山岡は、この話を居酒屋で得意げに語り、そのまま焼酎の葡萄割りを一気飲みした。
しかしある日、チャンギ空港の職員にごみと間違えられ、山岡は所持品をすべて失った。
山岡のエピソードから我々が学ぶべき点は、バッグはあった方がいい、ということだ。
いま私が愛用しているのは、昨年の一時帰国のときに購入したビジネスリュックだ。
こうした製品を選ぶとき、私のこだわりポイントはほとんど一点に集約される。すなわち、LCC(格安航空会社)の無料持ち込み制限に合致しているか、という点である。
たとえば、2019年現在で私が最も利用しているLCCのWizz Airは、無料で機内に持ち込めるバッグのサイズを「40×30×20cm」に制限している。
旅行の移動コストを最小化したい。ロスバゲ(Lost Baggage)もこわいので、できれば荷物預け入れのプロセス自体を省略したい。
このような信条を持つ私にとって、物事を判断する枠組みはすべからく「40×30×20cm」となってくる。Wizz Air仕様の思考体系なのである。
しかしここで、think out of the box(柔軟な発想をする)という英語の慣用句に倣うなら、LCCの荷物制限をブレークスルーするアイデアがひとつある。
あなたには思いつくだろうか、このイノベーションが・・・?
そこに求められるのは、「服を重ね着しまくる」という発想だ。
靴下も、下着も、シャツも、すべて3枚ずつ重ねて着る(履く)。関節の動きなどに苦痛を感じるかもしれないが、なあに、機内に入ってからすぐに脱げばよいのだ。どうしても荷物が収まらないとき、この方法をぜひお試しありたい。
(⇒ もちろん普通にバッグにしまう努力も必須で、そのときの必需品は衣類圧縮袋だ)
まず、スマホよりも画面が大きいから地図を調べるのに便利だ。定番はやはりGoogle Mapだが、私のおすすめはMaps.meである。オフラインで乗り換え検索ができたり、児童公園などの(子連れに重要な)位置情報の精度がすばらしいのだ。もちろん二者択一というわけではないので、私はGoogle MapとMaps.meを併用している。
それから、地元の人たちとの意思疎通を助けてくれる。行きたい場所の写真を見せて「ここに行きたいです!」とお願いすれば、言葉の通じない土地でもだいたい伝わる(※)。現地の床屋さんに飛び込んで「この髪型にしてください!」と言うのもオーケーだ。私の経験上、そういう珍客はけっこう歓迎されるものである。
※ 識字率の高い国を訪れるなら、Google翻訳のアプリで現地語の辞書をダウンロードしておけば、これで相当にコミュニケーションができる。
子どもたちを遊ばせておくアプリの効能については、1年前の記事にて紹介したとおりだが(⇒ 子連れ旅行のライフハック)、いまでも抜群の威力を発揮している。最近の子どもたちのお気に入りは、オセロ、どうぶつしょうぎ、Lightbot Hour(プログラミング学習アプリ)といったあたり。加速する世の中の便利さに、目もくらむばかりだ。
(画面の大きさが周囲の関心を惹きつけ、交流が生まれやすいのもポイントだ。先日、イスタンブール空港の待ち時間にどうぶつしょうぎをしていたら、ゆきずりのアゼルバイジャン人と対決することになった)
我が家では、もはや2歳児を含む全員がヘビーユーザーだ。必要を感じた都度に買い足していく形で、いまでは4台のiPad(Pro, Air, 無印, mini)が無尽の活躍をみせている。
そんなときには、BluetoothでiPadとつながる折りたたみ式キーボードがすこぶる役に立つ。これさえあれば、もうノートパソコンは持ち歩かなくてもいい・・・と断言できるフェーズにまでは至っていないのだが。
(充電プラグさえあれば)先進国への旅行にはいらないんじゃないか、との疑いも湧き出しつつあるが、空きスペースに最初に押し込むのはやはりモバイルバッテリーである。
私はこれを5台ほど所持しているが、最近とみに重宝しているのは太陽光充電もできるバッテリーだ。よく晴れた休みの日に、家のベランダで充電をするのも不思議にたのしい。子どもたちのエネルギー教育という意外な副次効果もあった。
私は子連れ旅行の先達からこの知恵を授かり、爾来、大いに助けられている。どの旅行でもほぼ必ず見せ場がある、実力派バイプレイヤーのような存在である。
一回の旅で使い切ることはまずないので、半分くらい使って小さくなったものを持っていくのがコツである。
そして我々は、高級ホテルには基本的にご縁がない。畢竟、自然な論理の帰結として、はぶらしセット(はみがき粉や石けんなどを含む)を持参していくスタイルとなる。
これらをジップロックなどに入れておくと、空港の手荷物検査のときに便利である。
以上、これがミニマル派寄りの個人主義を奉ずる私のリストである。
幼児連れの読者は、「おむつなどの消耗品をどうするか」との問題提起をされるだろうか。私の対案は、「一部のリソースを現地調達する」というものだ。
そうすれば、ほら、LCCで家族旅行をする実現性は、もうすぐそこまで、手の届く範囲にまで迫ってきているではありませんか。
そう、1週間の旅行グッズは、「40x30x20cm」に詰め込めるのだ。
これは、数多くの先人たちが意見を具してきたテーマである。
使い慣れたアイテムをできるだけ持ち込む「詰め込み派」。
パスポートとスマホさえあれば良しとする「ミニマル派」。
帝国主義打倒・スターリン主義打倒を掲げる「革マル派」。
そこには、それぞれの哲学があり、思想があった。ときに派閥間の武力衝突が起こったり、起こらなかったりした。
こうしたおそるべき状況にあって、私はミニマル派寄りの個人主義を奉ずる者だ。
この派閥は、「荷物は少ないのが良いと思う。でもまあ、これは《良い悪い》じゃなくて《好き嫌い》の世界だよね」と、いささか軟派な発言をみせることで知られている。
そんなわけで、私が以下に陳述する事柄は、頭から尻尾まで趣味の領域に属する話である。この意見に与しない読者諸氏を排斥しよう、などといった意図はみじんもない。
逆もまた然り。本稿を一読後、「お前の意見は間違いだ」「お前の人間性には問題がある」などと石を投げるのはご遠慮ありたい。繰り返すが、これは単なる《好き嫌い》の話なのだ。
パスポート(必要度★★★)
パスポートなしで外国旅行をするのは難しい。というより、ほとんど無理筋だ。これを紛失すると、かなりキツめの展開が待っている。私はいくつかの例を知っているが、「一時帰国」「外務省」「叱責」というキーワードがいずれにも登場した。
ヨーロッパ在住者は、シェンゲン域内ならパスポートなしで移動可能である。でも私の経験からすると、「非白人」に提示を求めるケースもあるから要注意だ。私は何度か忘れて、国連職員の身分証(Legitimation Card)で窮地をしのいだ。
ちなみに、国連職員にはレセパセ(Laissez-Passer)という外交官旅券が与えられるが、
これといった特権はなく、私用に供することもできないので(当たり前だが)、特にうらやむ必要はない。むしろトラブルを招くケースもあって、たとえばレセパセのみを携行してロシアを訪れた私は、空港で入国拒否をされてしまった。
このときは揉めに揉めて、最終的にはなんとか入国できたのだが(ビザの保証元が国営企業だったのも功を奏した)、拙稿をお読みの国連職員各位には、念のためご自身の国が発行した旅券を懐に忍ばせておくことをお薦めしたい。というか、私は同僚からそのようにアドバイスされたのを失念していたのだった・・・。
お金(必要度★★★)
お金なしで旅をするのは、不可能ではない。たとえば、旅先でシタールを演奏する。火吹き芸を披露する。コーヒー豆農園で労働契約を締結する。こういった行為によって、現地でお金を稼ぐ方法はいくらもある。
だが、子連れの旅でそれを求めるのは難しい。なにか別のニュアンスも生まれてきそうだ。そういうわけで、やはりお金は必要である。
(日本にお住まいの方は、世界的にも珍しい穴の開いた硬貨「5円玉」を持参すると、現地で仲よくなった人への手ごろなプレゼントにもなる)
移動中にお金をどこにしまうか。これも悩ましいテーマである。
私は、高城剛の名著「LIFE PACKING」にあった「びわ茶の袋に現金をしまう」アイデアを参考にした。泥棒に入られても、まさかこの中にお金があるとは思うまい、というわけだ。
そこで我が家では、キットカットの小箱をバックパックの深奥部にしのばせている。
カタカナで書くのがポイント(漢字だと可読性が高まってしまうから) |
私はウクライナ旅行で(唯一)これを怠り、そうしてスリに遭って全所持金を失った。これを書いている1週間前のことだ。後悔が下腹部を貫き、直腸にまで差し込んでくるが、もはやどうにもならない。そして時間を巻き戻す技術はまだ発明されていない。月は東に日は西に。
現金の置き場所は分散化させるべき、という話でした。
携帯ウォシュレット(必要度★★)
パスポート、お金ときて、次の項目が「携帯ウォシュレット」とはどういうことか、と読者は思われるかもしれない。でもこれこそ《好き嫌い》の世界の話で、私にとって肛門まわりの快適性(QOA:Quality of Anal)は、食事や睡眠と同じくらい大事なイシューなのである。
私の愛機は、TOTOの携帯ウォシュレット YEW350。
あまりに好きすぎて、この6年間で3台も買ってしまった。まったく同じ機種を3台もだ。
この作品――「商品」ではなく、あえて「作品」と呼びたい――の優れた点は、なによりもコンパクトであることだ。
パスポートと大きさを比べてみても、
パスポートでお尻をきれいにしようとしたら、これは大変なことになる。でも携帯ウォシュレットならいつでも大丈夫。この安心感はただごとではない。
もうひとつの長所は、本機が単3電池1本だけで動くことだ。
ここでのポイントは「単3電池」で、なぜなら別名「AA Battery」は海外でも比較的容易に手に入るからだ。コンセントがどうとか、プラグがどうとか、いちいち悩まなくてもよいのがありがたい。
私の思うところ、「乾電池だけで動くかどうか」というのは、旅行グッズを選ぶうえで重要な判断基準である。
(⇒ 同じ理由でブラウンの携帯電気シェーバー M-90も最高の逸品。これも私は3台買った)
どことなく微生物っぽいフォルム |
翻って、携帯ウォシュレットの欠点は、ヨーロッパ社会でまったく認知されていないということだ。そもそも「ウォシュレット」が通じない。それはTOTOの商品名に過ぎないからだ。
そういうわけで、これを持っていると空港の手荷物検査でしばしば引っかかる。ミュンヘン空港で覚せい剤の吸引機と間違われ、あやうく別室に連れていかれそうになったこともある。まあこれは検査官に「この器具は何に使うものか?」と詰問されて、とっさに「お尻を気持ちよくするものだ」と答えてしまった私もよくなかったのだが。
バッグ(必要度★★)
ここまでいくつかの携行品について述べてきたが、ものを運ぶにあたっては、やはりバッグがあると便利だろう。いや、おれにはバッグなど無用だ、とうそぶき、サミットのビニール袋ひとつで海外に行くのを常とする剛の者が、私の知り合いにいた。彼の名を仮に山岡としよう。
「一般人とは異なる価値観を持ったユニークなキャラクター」を自己演出しがちな山岡は、この話を居酒屋で得意げに語り、そのまま焼酎の葡萄割りを一気飲みした。
しかしある日、チャンギ空港の職員にごみと間違えられ、山岡は所持品をすべて失った。
山岡のエピソードから我々が学ぶべき点は、バッグはあった方がいい、ということだ。
いま私が愛用しているのは、昨年の一時帰国のときに購入したビジネスリュックだ。
こうした製品を選ぶとき、私のこだわりポイントはほとんど一点に集約される。すなわち、LCC(格安航空会社)の無料持ち込み制限に合致しているか、という点である。
たとえば、2019年現在で私が最も利用しているLCCのWizz Airは、無料で機内に持ち込めるバッグのサイズを「40×30×20cm」に制限している。
画像引用:Wizz Air: Baggage
|
旅行の移動コストを最小化したい。ロスバゲ(Lost Baggage)もこわいので、できれば荷物預け入れのプロセス自体を省略したい。
このような信条を持つ私にとって、物事を判断する枠組みはすべからく「40×30×20cm」となってくる。Wizz Air仕様の思考体系なのである。
しかしここで、think out of the box(柔軟な発想をする)という英語の慣用句に倣うなら、LCCの荷物制限をブレークスルーするアイデアがひとつある。
あなたには思いつくだろうか、このイノベーションが・・・?
そこに求められるのは、「服を重ね着しまくる」という発想だ。
靴下も、下着も、シャツも、すべて3枚ずつ重ねて着る(履く)。関節の動きなどに苦痛を感じるかもしれないが、なあに、機内に入ってからすぐに脱げばよいのだ。どうしても荷物が収まらないとき、この方法をぜひお試しありたい。
(⇒ もちろん普通にバッグにしまう努力も必須で、そのときの必需品は衣類圧縮袋だ)
iPad(必要度★★)
旅行者に最も役立つ電子機器は、iPadをはじめとするタブレットだと思う。まず、スマホよりも画面が大きいから地図を調べるのに便利だ。定番はやはりGoogle Mapだが、私のおすすめはMaps.meである。オフラインで乗り換え検索ができたり、児童公園などの(子連れに重要な)位置情報の精度がすばらしいのだ。もちろん二者択一というわけではないので、私はGoogle MapとMaps.meを併用している。
それから、地元の人たちとの意思疎通を助けてくれる。行きたい場所の写真を見せて「ここに行きたいです!」とお願いすれば、言葉の通じない土地でもだいたい伝わる(※)。現地の床屋さんに飛び込んで「この髪型にしてください!」と言うのもオーケーだ。私の経験上、そういう珍客はけっこう歓迎されるものである。
※ 識字率の高い国を訪れるなら、Google翻訳のアプリで現地語の辞書をダウンロードしておけば、これで相当にコミュニケーションができる。
iPad Pro(12.9インチ)は、マンガ読みには至上のアイテム |
子どもたちを遊ばせておくアプリの効能については、1年前の記事にて紹介したとおりだが(⇒ 子連れ旅行のライフハック)、いまでも抜群の威力を発揮している。最近の子どもたちのお気に入りは、オセロ、どうぶつしょうぎ、Lightbot Hour(プログラミング学習アプリ)といったあたり。加速する世の中の便利さに、目もくらむばかりだ。
(画面の大きさが周囲の関心を惹きつけ、交流が生まれやすいのもポイントだ。先日、イスタンブール空港の待ち時間にどうぶつしょうぎをしていたら、ゆきずりのアゼルバイジャン人と対決することになった)
我が家では、もはや2歳児を含む全員がヘビーユーザーだ。必要を感じた都度に買い足していく形で、いまでは4台のiPad(Pro, Air, 無印, mini)が無尽の活躍をみせている。
折りたたみ式キーボード(必要度★)
私は旅先でブログ原稿を書く習慣を持たない(そんな余裕はない)。でも仕事の備忘録などで、Word文書1枚ぶんくらいの短文をさっと書く必要はときどきある。そんなときには、BluetoothでiPadとつながる折りたたみ式キーボードがすこぶる役に立つ。これさえあれば、もうノートパソコンは持ち歩かなくてもいい・・・と断言できるフェーズにまでは至っていないのだが。
モバイルバッテリー(必要度★)
現代人の75%が該当すると言われる「充電不足恐怖症」の病。私もしっかりと罹患している。(充電プラグさえあれば)先進国への旅行にはいらないんじゃないか、との疑いも湧き出しつつあるが、空きスペースに最初に押し込むのはやはりモバイルバッテリーである。
私はこれを5台ほど所持しているが、最近とみに重宝しているのは太陽光充電もできるバッテリーだ。よく晴れた休みの日に、家のベランダで充電をするのも不思議にたのしい。子どもたちのエネルギー教育という意外な副次効果もあった。
トイレットペーパーの芯を抜いて、ぎゅっとつぶしたやつ(必要度★)
トイレで紙がなかったり(たまにある)、子どもが飲料をこぼしたり(よくある)、そうしたときに活躍するのが、この「トイレットペーパーの芯を抜いて、ぎゅっとつぶしたやつ」だ。私は子連れ旅行の先達からこの知恵を授かり、爾来、大いに助けられている。どの旅行でもほぼ必ず見せ場がある、実力派バイプレイヤーのような存在である。
一回の旅で使い切ることはまずないので、半分くらい使って小さくなったものを持っていくのがコツである。
おしゃれなパスポート立てにもなる |
はぶらしセット(必要度★)
これはよく知られた事実だと思うが、日本以外の国において、よほどの高級ホテルを除けば、はぶらしが常設してある宿泊場所はほとんどない。そして我々は、高級ホテルには基本的にご縁がない。畢竟、自然な論理の帰結として、はぶらしセット(はみがき粉や石けんなどを含む)を持参していくスタイルとなる。
これらをジップロックなどに入れておくと、空港の手荷物検査のときに便利である。
ビタミン系サプリ(必要度★)
「肉ばかり食べて栄養が偏る」のもよくあるケースだ。国によってはサラダが高級品だったりするので、いよいよバランスを欠いてくる。
そういうときに、ビタミン系サプリを携行すると都合がよい。私は日本からディアナチュラをたくさん買った。まあ気休めではあるのだが、その気休めこそが主な目的だと心得ている。
水泳パンツ(必要度★)
温泉やサウナを愛する者として、水泳パンツは優先度の高いアイテムだ。下調べなどせずに、とりあえず持参する。現地で出番のないときは、速乾性の下着として登場してもらうのだ。
サンダル(必要度★)
これも同じく「とりあえず系」で、特に考えなく荷物に入れておく。するとどこかで必ず役に立つ。サンダルは私にとって、信頼できるチームメンバーのような存在である。
私は日本からミサトっ子の草履を2足ほど持ってきたが、どちらも履きつぶしてしまった。そういうわけで最近はH&Mの安サンダルをよく履いているが、私の足裏は無意識のレベルで「い草」を欲している。
以上、これがミニマル派寄りの個人主義を奉ずる私のリストである。
幼児連れの読者は、「おむつなどの消耗品をどうするか」との問題提起をされるだろうか。私の対案は、「一部のリソースを現地調達する」というものだ。
そうすれば、ほら、LCCで家族旅行をする実現性は、もうすぐそこまで、手の届く範囲にまで迫ってきているではありませんか。
そう、1週間の旅行グッズは、「40x30x20cm」に詰め込めるのだ。
コメント
以前ウィーンについて質問した者です。その節はありがとうございました。いよいよ明日からウィーン&プラハです^^
Wizz Airというワードを見つけて嬉しくなりました。今回はじめて利用するのですが、日本語で検索してもあまりヒットしなくて…
お天気が生憎悪そうですが、楽しみに参ります!
ちなみに最も悪いのは某ライアンエアー。最近はLCC間でも財政面やレピュテーション面で勝ち負けが出てきているなぁ、と感じます。
今週のウィーンはお天気が崩れそうですが、雨でも博物館など行く場所はありますので、ぜひお子さまとゆっくりおたのしみください!
Satoruさんの文章の、おもしろと真面目の変なミックス具合いが好きです
自分は中東やアフリカによく行くんですが、まさに完全同意で、Maps.meの地図アプリはオフラインに強くて最高だと思います
あと自分的にはAirPodsがマストアイテムなんですが、Satoruさんは移動中に音楽を聴く時とかどうされてますか? 子供さんがいると無理かもですけど。。。
私はBose QuietComfortシリーズの熱心なファンで、いまは「35」を愛用しています(これで3台目)。減価償却しきってます。