折りたたみ式ベビーカーは機内に持ち込める

以前、「子連れ旅行のライフハック」で、折りたたんで飛行機の中に持ち込めるベビーカーを誰か発明してくれないか、といった意味のことを書いた。

 そうしたら、それが実際にあったのだ。


ウィーンで売っていた折りたたみ式ベビーカー・POCKIT


 2か月前、ウィーンの子供用品店でこれを見つけた。168ユーロ。安くはないが、折りたたみ自転車に比べれば高くもない(註:私はDahonの愛好家だ)。つい、衝動買いしてしまった。

 Pockit」というのが、そのベビーカーの商品名だ。日本語話者の耳には「ポキッと」折れて壊れてしまうような、やや不吉な語感がある。だが幸運にも、そのような展開には至らず、日々のハードな使用によく耐えてくれている。


4台目のベビーカー

はじめてベビーカーを入手したのは、バークレーに住んでいた5年前のことだ。イスラエル人の知己から、イスラエル製のベビーカーを無料でもらった。

 それからかなり酷使してきたので(子どもが0歳の頃からよく遠方に出かけていたので)、壊れては買い替え、また壊れては新しきを求め、今回の「ポキッと」もとい「POCKIT」で、実に4台目ということになる。

 アメリカでは、あぜ道でも砂利道でも平気で走るような、いかにも頑丈なベビーカーが保守本流で、我が家もそれに影響されて「タフネス第一」のポリシーが長く続いた。この世界観においては、車輪は大きければ大きいほど良いのであった。フレームは太ければ太いほど良いのであった。

 それに比べてオーストリアでは(あるいはヨーロッパでは)、より日本人好みというのか、小柄で洗練されたデザインをよく見かける。今回購入したPOCKITはその極北というべきもので、なにしろ折りたたんで飛行機のキャビンに持ち込める。それがこの商品の惹句なのだ。


折りたたみ可能なベビーカー「Pockit」とスーツケースの比較
スーツケース(機内持ち込み可能なサイズ)との比較

折りたたみ可能なベビーカー「Pockit」と草履の比較
私の草履との比較


実際に機内に持ち込んでみる

このベビーカーがあれば、ロスバゲ(荷物紛失)の不安とはおさらばだ。バゲージクレームで巨大な回転ずしみたいなベルトコンベアーを凝視する、あの不毛な時間にもさよならだ。

 もはや、ベビーカーを折りたたむために、飛行機に乗りたい。

 手段と目的が交錯した私の願望。それの叶う日がついにきた。ウィーン~マルタのフライトに乗ったのだ。実はこの文章も、マルタ航空のA320の機内で紙ナプキンに書きつけている。

 チェックイン時に、マルタ航空の係員から半畳を入れられる一幕もあったが(機内持ち込み可能なサイズとは容易に納得されなかった)、結果的にはキャビンに持ち込むことができた。大きめのエコバッグに入れて担いで、疑惑の目をそらす工夫が功を奏した。まあ、本質的には何も悪いことはしていないのだけれど。


マルタ航空の飛行機内の上棚にしまわれる折りたたみ可能なベビーカー「Pockit」
キャビンの上棚にも余裕でしまえた

マルタの道路に置かれたベビーカー「Pockit」
マルタの道路は幅が狭い。小さいベビーカーで助かった

マルタ・ゴゾ島の公園に置かれたベビーカー「Pockit」
荷物の過剰積載には要注意(わりにすぐ倒れるので)


新たな、そして最後のフェーズへ

そんなわけで、私の「ベビーカー人生」は、いま新たなフェーズに突入した。

 あと2,3年もしたら、ベビーカー自体が不要となるはずだ。すなわち、これが最新にして最終フェーズということになる。そう思うとなかなか感慨深いものがある。

 最初は見た目の大きさやタフネスを追求していたが、最終形態では逆に最もスリムになる。そういうパターン、どこかで見たな。そうだ、漫画「ドラゴンボール」に出てくるフリーザというキャラクターだ。

 「わたしのベビーカーは53万です」
 いや、それはちょっと高すぎるだろう。


 


マルタ・ゴゾ島のベビーカー「Pockit」



マルタ・ゴゾ島のベビーカー「Pockit」

マルタ・ゴゾ島のベビーカー「Pockit」


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