新たな賢人に聞く、ウィーンで子育てをたのしむ方法

「三賢人に聞く、ウィーンで豊かに暮らす方法」という記事がある。拙ブログで1年前に公開したものだ。

 とくに宣伝をしたわけでもなしに、じわじわとアクセス数を増やし、いまでは隠れた看板記事となっている。まことにありがたいことである。

 ウィーンに赴任される方はもちろんのこと、観光でいらっしゃる方への示唆にも満ちた当該記事が人気を博すのは、まあ当然といえば当然ではある(寄稿記事なので安心して褒められますね)。

 さて。

 これに気をよくした私は、前述の三賢人たちに勝るとも劣らぬ内面的な豊かさを有する人物に、満を持して登場いただくことにした。

 その「人物」とは、ほかならぬ私自身がウィーンの暮らしのクオリティを高めるためのベスト・プラクティスとして仰ぎ見ている存在でもあり・・・いや、あんまり絶賛するとご本人の筆がにぶってしまうかもしれない。前口上はこのあたりで止めておこう。

 幕は上がった。照明が点いた。賢人の真打であられるKさんが表舞台に立つときがきた。

 「ウィーンの生活立ち上げガイド」としての拙ブログの効用は、ここにきてついに、K点を越えた。達成に至った。楽屋の暗がりで、私の右手が小さくガッツポーズをつくった。

 下記は、Kさんの英知が圧力釜のように凝縮された1万7千字だ。どうぞよろしく、熟読玩味をくださいますよう。


Q1. ウィーン在住期間と、これまでの海外赴任・出張等のご経験を教えてください。

 ウィーンには、夫の赴任に家族で付いてきて、約2年半の滞在になります。

 それまでに海外に住んだ経験は、学生時代に3ヶ月ほどロシアの地方都市に、1年強イギリスの首都の2回です。

 その他、時々海外旅行(一応、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカには足を踏み入れています。)をしていたほか、出張でアジア諸国に行っていました。



Q2. 日本から持ってくればよかったと後悔しているもの、あるいは持ってきてよかったなあと噛みしめているものはありますか?

あまりこだわりはなく、なければない、現地でどうにかするタイプなので、持ってこなくて後悔しているものは特にないです。

 日本から持ってきて重宝しているもの、やはり日本から持ってきたいものはいくつかあります。

巻き簾:子供たちの学校のイベントなどで、出身国の料理を一緒に作ったり、あるいは持参したりすることがあります。巻き寿司は子供にも大人にも認知度が高く、みんな喜んでいただけるので日本よりも作る機会が多く(日本では作ろうとも思っていませんでした。)、出番が多いです。

常備薬:我が家で出番が多いのは、風邪薬のほか、ビオフェルミン(整腸剤)、ムヒなどの虫刺されの時の薬です。出番は多くないですが、正露丸はやはりあると安心です。こちらの薬にお世話になることもありますが、体格(体重)が異なるので摂取量には気をつけています。

日本の食材:日本に比べるとかなり高額になりますが、こちらでも大抵のものは手に入ります。それでも、日本から取り寄せたいものは、のり、ふりかけやおにぎりの素(毎日のお弁当に使います。)、佃煮系。きな粉とあんこ(こちらは作れなくもないですが)は最近はなくてはならない存在です。

子供向けのお弁当箱:こちらで子供たちのお弁当、となるとサンドイッチなどのパン系となるため、お弁当箱(に相当するもの)に密封性がなく、大きくなってしまいます。日本のようなお弁当を持たせるにあたっては、やはり日本のお弁当箱がちょうど良いです。日本では100円均一で買えるようなお弁当の中で使うアルミカップやシリコンカップも重宝しています。

オペラやバレエのガイドブック、オペラの漫画:我が家は関心のあるオペラやバレエにはできるだけたくさん足を運んでいます(安価にチケットが手に入る方法もあり、後述しております)。娘がバレエを習っていることから、バレエのガイドブックやバレエの絵本、児童書などはいくつか持っていましたが、ウィーンに来ることになり、せっかくなのでオペラを観たい、と思い、オペラのガイドブックと漫画を購入して持ってきました。今時インターネットで検索すれば情報は出てきますが、我が家ではどのオペラを観に行くか決める時、あるいは行く前にあらすじを理解したいときに重宝しています。



Q3. 中欧に位置するオーストリアは、東西南北どの方向を見ても旅行先に恵まれています。あなたがウィーンに来てから経験したなかで、「ここに行ってよかった」という国・都市はどこですか?
 
 オーストリアはウィーンやザルツブルクといった都市も子供から大人まで楽しめますが、やはり自然が素晴らしく美しいです。

 特に印象深いのはシャフベルグとその麓にあるザンクト・ヴォルフガング湖畔の街です。特に、シャフベルグに登山列車で登った後の頂上から見える景色は壮大で素晴らしく、清々しい気持ちでハイキングを楽しみました。ザンクト・ヴォルフガング湖では泳ぐこともでき、子供たちも喜んでいました。

シャフベルクからの景色。コバルトブルーの湖がとても綺麗です。


 オーストリアはスキー大国。スキー好きには、規模、景色、インフラ共にたまらないようです。我が家が行った氷河スキー(チロル州)で見た圧巻の景色は忘れられません。



 旅行したどの国も思い出深いですが、特に気に入っているのはスペインとクロアチアです。どちらも、ウィーンに来る前に行ったことがありましたが、やっぱりもう一度行ってみたい、と思った国です。

 スペインは、バルセロナでガウディをはじめとする建築物、ピカソやミロといった現代絵画の巨匠の美術館、コルドバのメスキータやグラナダのアルハンブラ宮殿などイスラム教の文化が色濃く残る建築物でたくさんの感動をもらいました。パエリアやタパスなど、美味しい食べ物も魅力の一つです。

ガウディの建築物は子供たちにも印象深かったようです。
(写真は、息子がいつまでも居座りたがったカサ・ミラの屋上。)


 クロアチアは南のドブロヴニクから北のプーラまでバスと船で旅をしました。各都市の旧市街は見所も多い(ローマ時代の遺跡もたくさん残っています。)ほか、どこにでもあるビーチで泳げるのが子供たちにとって何よりの楽しみでした。コルナティ諸島の島で泳いだときの真っ青な海はとても印象深いです。海産物に乏しいウィーンにいるので、毎日のように市場で新鮮な海産物を買っては泊まっているアパートメントで料理をしました。

ドブロヴニク近郊のスルジ山からの夕焼け

コルナティ諸島の海。海の中も真っ青なブルー。

Silba島の海。底には白砂が広がる遠浅の海で、子供連れにも安心です。


 その他、ピンポイントで印象深かったのはスイスのティチーノ地方にあるヴェルツァスカ渓谷です。夫がネットで見つけてきた写真をきっかけに訪れました。真夏でもあまりの冷たさに30秒も入り続けることはできませんでしたが、周りの景色に癒されました。ティチーノ地方に泊まれば、滞在期間中、公共交通機関が無料、施設割引もあるカードをいただくことができ、大いに活用させていただきました。




Q4. 豊かな文化を持つウィーンには、季節に応じて多彩な催しがあることで知られています。あなたが経験されたなかで、「これはおすすめ!」と推薦されるものはありますか?

 一番のオススメは9月末か10月初めに開催されるワインハイキングです。ウィーン市内にもワイン畑がたくさんあり、その中のホイリゲや臨時のスタンド/ミニホイリゲでこの時期特有のシュトルム(炭酸性の若いワイン)やワインやソーセージを楽しみながらハイキングするものです。途中、子供たちが遊べる公園や小動物がいる小さな動物園もあります。アルコールが飲めなくても美味しいブドウジュースも飲めます。




 次にオススメするのはクリスマスマーケットです。市庁舎やシェーンブルン宮殿で開かれる大きなマーケットから、Freyung(フライユング)のような昔からある雰囲気の小規模なマーケットまで、たくさんのマーケットが開かれます。マーケットで買い物や飲食を楽しむだけでなく、ブラスバンドや合唱団によるコンサートがあったり、子供向けのワークショップ(クッキー作りやクラフト作り)があったり、たくさんのイベントもあります。寒いけれども、ここで熱いプンシュ(シュナプス(蒸留酒)とフルーツジュースを混ぜて作ったもの)を飲むのが楽しみです。アルコールが入っていないキンダープンシュもあり、子供も楽しめます。マーケットによってはその場所限定のカップを購入できます。


Freyungのクリスマスマーケット


クッキー作りはクリスマスマーケットなどこの時期の定番アクティビティ



Q5. ウィーンに子連れで旅行(又は赴任)される方に、「子どもが喜ぶスポット」をいくつか推薦するとしたらどこでしょうか?

 春や秋など、気候のよい時(最近のウィーンは、暑いか寒いで丁度良い気候の時期があまりないように思いますが)であれば、公園をオススメします。
  • 金色のヨハンシュトラウス像で有名な市内公園(Stadtpark)
  • 街の中心地・カールスプラッツに近いレッセルパーク
  • 中心部から少し外れますがウィーン少年合唱団の校舎があるアウガルテン
  • ウィーンのシンボルの観覧車があるプラターや近くのヴェネディガー・アウ
  • 国連シティ近くにあるドナウパーク
など、2歳児から10代の子供まで遊べる大きな公園がたくさんあります。その多くは木陰にあるので、実は夏でもそんなに暑くはありません(ですからGoogle Mapのサテライトでは木に隠れて見えないこともあります)。これら以外でも、ウィーンには歩けば小さな公園(遊具付き)があるのが、子供連れには嬉しいところです。

 ウィーンの動物園もオススメです。シェーンブルン宮殿の敷地内にある動物園は、女帝マリア・テレジアの夫であるフランツ1世により1752年に設立された世界最古の動物園です。広い敷地の中にはパンダやコアラなどの人気動物も飼育されています。緑も多く、動物園として行くだけでなく、散歩に行くにも適しています。

アウガルテンにある公園。こんな遊び場が市内のあちこちにあります。

ヴェネディガー・アウ公園。
この公園に限らず、日本ではなかなか見かけないようなスリリングな遊具も結構あります。


 夏の暑い時期であれば、ドナウインゼルにあるWasserspielplatz(ヴァッサースピールプラッツ:水遊び場)をオススメします。ドナウ川に隣接するようにあり、筏や水車、子供が裸足で駆け上がれる小さな丘(というほどでもないですが)があり、子供たちは何時間でも楽しめます。子供のひざ下くらいの深さのところがほとんどなので、小さな子供でも入れます。キオスク、お手洗い、簡易な脱衣所、シャワーもありながら無料で楽しめるので、敷物とおやつを持って、お友達と出かけることもありました。ドナウインゼルのほか、10区のWasserturmの近くにもWasserspielplatzがあります。こちらは通常の公園と水遊び場が一緒になったような公園です。

Wasserspielplatzにはこんな筏もあります。池は子供の膝くらいで浅いです。

特別な水遊び場に行かなくても、近所の公園でも水遊びは夏の定番です。

<Satoruの蛇足的コメント>
ウィーンの児童公園については私も記事を書いたことがありますが、Kさんが挙げられた公園はどれもすばらしいスポットです。ウィーンに観光でいらした方でも行く価値があると思います。それから、動物園や生垣迷路のあるヒルシュシュッテッテン庭園も最高ですね。これで入場無料とはちょっと信じがたいほど。

 冬の寒い時期ならでは、ということでオススメするのはスケートです。
  • 市庁舎前には3月初めまでスケートリンクが設置されており、子供からお年寄りまでスケートを楽しんでいます。クリスマスマーケットが開催されている時期は、マーケットとスケートの両方を一度に楽しむことができます。
  • 市立公園も近いWiener Eislauf-Verein(ウィーンスケート協会)のリンクも150年以上を誇るリンクです。滑れないお子様でも、ペンギンがスケートを楽しむお手伝いをしてくれます。その場でレッスンをお願いすることもできます(有料)。
  • Erste Bank ArenaStadthalleと言った屋内リンクもあります。
スケート靴はもちろん買うこともできますが、通常のスポーツ店でも気軽に購入することができます。ちなみに、とても寒くなるとドナウ河が凍ってスケートをされている方もいらっしゃいます。

 とは言え、ウィーンをはじめこの国の方々の多くが楽しみにしているのがスキーです。オーストリアの各地に良質のスキー場は山ほどありますが、ウィーンから電車で約1時間のところにあるSemmering(ゼマリング)も子供から大人まで楽しめるスキー場です。スキーができない小さなお子様にはそり専用のエリアもあります。


 寒いので外でのアクティビティを避けたければ博物館をオススメします。
  • 中心部にある自然史博物館は、小規模ですが恐竜コーナーがあるほか、たくさんの鳥や動物たちの剥製が展示されています。子供たちに人気の博物館の一つです。お向かいの美術史博物館と双子のような建物は、その内装も素晴らしく、こうした意味でも訪れる価値はあると思います。
  • Haus des Meeres(海の家)は、屋内の水族館+動物園です。日本の水族館と比べると規模は小さいですが、猿などの小動物などを身近に感じられるエリアもあり、特に小さなお子さんには喜ばれる施設です。上層階にあるカフェからはウィーン市街を臨むことができます。戦時中に作られた防御用砲台タワー跡を利用しており、外見と中身のギャップに興味をそそられる施設でもあります。
Haus des Meeres(海の家)は、かつて拙ブログで紹介しようとしてタイミングを逸したものです。Kさんの言及された「防御用砲台タワー跡」は、ナチスドイツが連合軍の空爆攻撃に耐えるために建てたもの。あまりに頑丈につくりすぎて、終戦後に壊せなくなってしまった。そこで再利用というか、発想の転換というか、奇妙な外壁をボルダリングの遊び場にしたり、密閉性の高い空間を水族館にしたりした経緯があって(廃墟のように放置されているのも市内に数点ありますが)、ウィーン市当局の腐心が想像できるスポットです。水族館自体は1フロアが狭すぎて(なにしろ砲台タワーだったので)、ちょっと魚を見ただけで上の階に行かなくてはならないので不便ですが、それもまた味わいではある。



  • シェーンブルン宮殿には子供博物館(Kindermuseum)もあります。ここでは、宮殿での子供たちの生活を体験することができる他、当時の服装を着てみることができます。
  • 技術博物館では、歴代の機関車、飛行機、自動車、船などのたくさんの乗り物、身近な家電製品がお出迎えしてくれます。水力発電や風力発電のモデル、てこの原理がわかる展示など、自分たちで何かを動かして体感する展示が多くあります。ウィーンらしく、ピアノをはじめとする楽器も展示されています。小さな子供向けに何時間いても飽きないプレイルームもあり、我が家は何度も(特に息子)行かせていただきました。中心部を離れますが、最寄りの地下鉄の駅はシェーンブルン宮殿と同じですので、併せて行かれると良いと思います。


  • Haus der Musik(音楽の家) は、音をテーマにしたミュージアムで、名だたる音楽家の展示やウィーン国立歌劇場に関する展示のほか、世の中のいろんな音に耳を傾ける展示があります。我が家の子供たちの大のお気に入りである「バーチャルオーケストラ」があります。「バーチャルオーケストラ」は、好きな音楽を選び(「美しき青きドナウ」や「天国と地獄」など、日本人に馴染みのある音楽がほとんどです。)特別な指揮棒を振るとスクリーンのウィーンフィルハーモニーの方々がそれに合わせて演奏してくれます。最後まで演奏してもらえると拍手喝采、よくない指揮で止まるとブーイングが起こります。



Q6. ウィーンを楽しむ、お得な情報はありますか?

 ウィーンでは、無料楽しむことができるイベントがたくさんあります。
 また、子供連れにお得な特典もたくさんあります。

<無料イベント>
  • ミュージアムウィーンミュージアムのグループに入っているミュージアムは、第1日曜日に無料で入ることができます。ウィーン市のことを知ることができるウィーン博物館のほか、オーストリアを代表する建築家 オットー・ワーグナーがデザインした建築物、シューベルト、ヨハン・シュトラウス、ハイドン、ベートーベン(※ベートーベンはドイツで生まれましたが、ウィーンに37年住み、何度も引っ越しをしました。)といった著名な音楽家の生家や住居にも入ることができます。(モーツァルトハウスもウィーンミュージアムの一つですが、こちらは例外ですのでお気をつけて!でも、モーツァルトハウスに無料で入れる日もあり、後述します。)

ハプスブルク家所縁のエルメス・ヴィラもウィーンミュージアムの一つ。



 ウィーンでは、モーツァルトの顔と同じくらい、クリムトの「接吻」を街(のお土産やさん)で見かけます。ベルヴェデーレ宮殿では、この「接吻」で有名な上宮を含むミュージアムが「Free Friday Night」を開催しており、月に1回、金曜の夜に無料で入ることができます。(夏などの繁忙期や他にイベントがある時はこの限りでないようです。)

  • コンサート:最大の無料コンサートは、毎年夏(5月か6月あたり)に開催される「サマーナイトコンサート」です。こちらはウィーン・フィルハーモニーが世界への贈り物として、シェーンブルン宮殿で開催するオープンコンサートです。宮殿前のコンサートスペースは立ち見のみですが、大型スクリーンやスピーカーも設置されていてどこからでも鑑賞できるようになっています。小さいお子さんもいて、ずっと立ち見は辛いし、という場合は、グロリエッテのある丘にレジャーシートを敷いて雰囲気を楽しむことができます。(ステージまではかなり遠いですが。)いづれにしても、約10万人が訪れるというコンサート、良い場所を取りたい場合は早めの午後には現地入りすることをオススメします。ちなみに、お家でゆっくりテレビやインターネットでライブ鑑賞することもできます。(たまたまバスで出会った地元のおばさまには、自宅でテレビを勧められました。)

シェーンブルン宮殿でのサマーナイトコンサートのステージ。


奥のグロリエッテ前の丘ではたくさんの人が気軽にコンサート鑑賞です。



 ウィーンのオーケストラ、ウィーン交響楽団(Wiener Symphoniker)も5月頃にMuseumsquatierで無料コンサートを行なっています。こちらは、簡易な臨時席が設けられていて、早めに行けば座って鑑賞することもできます。ずっといられなくても、通りがかりに、アイスを食べながら気軽に鑑賞することもできます。

  • Tag der offenen Tür:「Tag der offenen Tür」というオープンデイが時々開催されます。私がこれまでに行ったことのあるオープンデイはこちらです。(内容は変更されているかもしれませんのでご了承を。)
    • 国立歌劇場:シーズンの始まりとなる毎年9月の第一日曜がオープンデイとなっています。午後と夕方の2回行われます。ファンファーレでお出迎えを受けた後、演奏や舞台が鑑賞できる他、舞台装置の見学、国立バレエ団のレッスンの見学ができます。1ヶ月前から配布される整理券が必要です。(配布開始日でほぼなくなってしまいます。)
    • フォルクスオーパー:毎年9月第1日曜がオープンデイとなっています。こちらでも歌や演奏を楽しむことができるほか、バックステージツアーや子供向けプログラムの歌手・ダンサーとのグリーティングなどたくさんのプログラムが準備されています。
    • モーツァルトハウス:ウィーンを代表する有名人の一人、モーツァルトの家がウィーンの中心部にあります。お誕生日にあたる1月27日付近にはモーツァルトハウスが無料公開されます。音楽にあまり興味がない方でも、ウィーンに来ればあちこちで目にするこの音楽家のお住まいを、こんな機会に一度訪れるのもよいかもしれないです。
    • 国立現代美術館(MUMOK):毎年9月のある日曜にオープンデイが開催されています。
我が家が訪れたのはこれくらいですが、Tag der offenen Türと検索すれば他にも出てきます。せっかくなので、こうした機会を使って、何もなければ行かないかもしれないところに行ってみると、自分にも、そして子供たちにも新しい発見があるかもしれません。


<子供のいるご家庭にオススメのカード>
  • Kinderaktiv Card:MuseumsquatierにあるWienXtra-Kinderinfoというウィーン市の子供向け情報センターで発行してもらえるKinderaktiv Cardは、無料で作れるものの、たくさんの子供向けイベントで無料やディスカウントの特権を受けることができ、活用させていただきました。登録すると、毎月イベントのブックレット(ドイツ語)を自宅まで送ってくれます。
  • OBB Vorteilscard ファミリーカード:オーストリア鉄道(OBB)では、年間費を払えばお得にチケットを購入できるVorteilscardを発行しています。このVorteilscardの一つ、ファミリーカードは、年間19ユーロ支払えば、子供と一緒の場合に限り(別に我が子でなくても構いません)、大人は半額、子供(15歳未満)は無料の特権を受けられます。ファミリーカードと言えど、世帯単位ではなく大人の人数分のカードが必要になります。車を持たない我が家は、Satoruさんに情報共有いただき即購入、以来、こちらで大変お得に旅行をさせていただいています。
  • ちなみに、オーストリア国内を横断するようにザルツブルクとウィーン間でサービスを提供しているWestbahnという私鉄も、かなりお得な早割(WESTsuperprise)がある他、6歳以上の子供は1ユーロで乗車することができ、子供がいる家庭にはありがたい料金設定です。
  • 余談ですが、土日、祝日、教育省が指定する長期休暇(夏休み等)において、15歳未満の子供はWiener Linieが運営するウィーン市内の地下鉄、バス、路面電車などを無料で利用することができます。
  • Niederösterreich Card:Niederösterreichとは、ウィーンを囲むように位置する下オーストリア州のことです。この州を中心に、一部ウィーンやブルゲンランドの300以上の施設でそれぞれ年に1回使えるカードです。年会費は大人63ユーロ、子供(6〜16歳)32ユーロ(※継続は割安になります。)ですが、たくさんのミュージアムにお城、プールやスキーのデイパス、景観の良い郊外を走るディーゼル列車、人気のヴァッハウ渓谷のクルーズなどなど、1年間では使い切れないほどの施設を楽しむことができます。4月から翌年3月の1年間で有効ですが、11月から12月まではクリスマスキャンペーンとして、その期間に購入すれば通常より3ヶ月長く、翌年1月翌々年3月まで使えるカードを購入することもできます。



Q7. お子さまの習い事や、ご自身のアクティビティにまつわるエピソードがあればご教示ください。

①子供の習い事
 全てではありませんが、多くの習い事が9月〜1月(学校の前期に相当)と2月〜6月(学校の後期に相当)の区間で登録を行います。(プライベートレッスンは空き状況によります。)7月、8月は基本的に夏休みです。新しい年度(9月)から何かを始める場合、夏休み前の5月から登録をするところも多いです。(9月になってからでは不可能、という訳ではないですが、その後は空き状況次第のようです。)

<スポーツ系>
  • ヨーロッパはサッカー好きが多いです。サッカーは、地元のサッカー教室(英語もあります)の他、日本人の子供たち向けのサッカー教室もあります。
  • スイミングは日本のようにスイミングスクールが運営するケースが少なく、スイミングスクールが既設のプールに先生を派遣してスイミングを教えるケースが多いようです。
  • スケートやアイスホッケーは、ウィンタースポーツが盛んなオーストリアで人気のスポーツです。スケートは、上記でご紹介したErste Bank ArenaやStadthalleなどの屋内スケート場でコースがあるほか、Eislaufvereinではそこにいるプライベートの先生にその場で時間単位でレッスンを申し込むこともできます。アイスホッケーは、スケートができなくても幼稚園児くらいから一から教えてくれるところもあるようです。
  • 柔道や空手など、日本のスポーツはウィーンのお子さんも習っていらっしゃるスポーツで、街角で教室を見かけます。男女問わず、子供も大人も習うことができます。日本で習っていらっしゃった方の継続も、海外にいるからこそ日本のスポーツを、とお考えの方にもちゃんと機会はあるようです。
  • 日本で人気のスポーツのひとつ・野球は、地元の子供たちのスポーツとしては、残念ながらほとんど存在感がありませんが、日本人を中心に活動しているところもあるそうです。ただし、スポーツ店にいっても道具がほとんどないので、野球をされたい方は日本から道具を持参されることをオススメします。

<音楽系>
  • 楽器:「音楽の都」とも言われるウィーン、街では、どんな楽器でも習えます。プライベートの音楽教室や個人の先生のほか、ウィーン市が各区に設けている音楽教室(Musikshule Wien)でもお手頃に楽器を習うことができます(日本人の先生も時々いらっしゃいます。人気のピアノやバイオリンは2〜3年待ちらしいです)。個人だけでなく数人でのグループレッスンもありますし、アンサンブルやオーケストラも子供のうちから取り組むことができます。ちなみに、日本で知名度の高いヤマハ音楽教室がウィーンにもあります。教材もメソッドも日本とほぼ同じものを使い、歌もドイツ語ですが同じものが多いようです。
  • 歌:上記のような音楽教室で合唱コースが開かれている他、ウィーン少年合唱団にも誰でも通える放課後クラスがあります。国立歌劇場(オペラ座)やフォルクスオーパーに属する合唱コースがあり、オーディションを経てここに所属する子供たちがオペラに出てくる子役として歌っています。

<ロボティックス系、プログラミング系>
  • 男の子を中心に人気があるのが、レゴなどを利用したロボットの組み立てやプログラミングでそれを作動させるロボティックスやプログラミングをテーマとした習い事です。ウィーン市内にいくつかあり、英語で教えてくれるところもあります。

<勉強系>
  • 日本で多くのお子さんが通っている公文がウィーンにもあります。駐在でいらっしゃるご家庭、また、こちらでずっと暮らしているご家庭のお子様方が通っていらっしゃいます。
  • また、教員資格をお持ちの方などがプライベートで日本語の学習教室を開かれてもいます。

子供たちの習い事を探すにあたり、ホームページなどで検索をしましたが、上述したKinder Xtrainfoには、習い事をはじめとする子供向けアクティビティのリストやパンフレットが置いてあります。Kinderaktiv Cardを持っていると毎月送ってくれるパンフレットにも体験会の案内が掲載されていることもあります。

 また、年度末(5月頃)、年度始め(9月頃)、セメスターの変わり目(2月頃)には、Tag der offenen Türとしてオープンデイが開催されるところもあります。こうした時に行ってみて、お子さんが気に入られるかどうか見てみると良いかもしれません。


②自身にまつわるエピソード
 ウィーンにはVolkshochshule(VHS)という市民文化センターがほぼ全ての区にあります。このVHSでは言語を始め、サイエンス、アート、音楽、運動など、様々なプログラムが小さな子供からシニア世代にまで分野も年齢層も幅広く提供されています。子供向けとして、体操、ヨガ、音楽(リトミック、楽器、ミュージカル)、クッキング、ちょっと大きな子供向けとしてコンピューター、写真、そしてセルフマネジメントなど幅広いコースが提供されています。(親世代向けの子育て講座まであります。)

 我が家では、私自身がドイツ語で、上の子供は夏休みのドイツ語で、下の子供は夏休みのドイツ語とバイオリンで、そして夫は陶芸でお世話になりました/なっています。
ドイツ語で提供されるコースがほとんどですが、英語で提供されるコースも時々ありますし、音楽系では日本人の先生を見つけることもあります。


Q8: 子連れの海外生活で悩ましいのが「学校選び」。Kさんのお子さまは私の子どもと同じ小学校に通われていますが、ご友人を含めた学校選びのケース・スタディをご存知でしたら教えてください!

<ケース1:できるだけ日本と同じ環境の学校を選びたい場合>
 ウィーン国際日本人学校では、日本の教科書を使いながら日本語で授業が行われています。外国語として、英語とドイツ語の授業もあります。日本の学校ならではの行事(運動会や学芸会など)がある他、スキーキャンプやオーストリア国内の小旅行も毎年行われています。日本人学校に在籍していなくても、年間60日までは体験授業として1日単位で通うことができるので、普段は現地校やインターナショナルスクールに通っていても、自分たちの学校が休みの時にこの体験授業を受けに来る子供たちもいます。


<ケース2:英語環境で学べる学校を選びたい場合>
 ウィーンにはいくつかのインターナショナルスクールがあり、それぞれに特徴があります。
 最も日本人が在籍しているのはVienna International School(VIS)です。幼稚園から高校生まで、同じ敷地で約1400人の子供たちが学んでいます。子供たちの国籍も多様であれば、保護者の国籍も多様(両親の国籍が異なる方が多いのでは)です。小学校は1年生から5年生まで。国際バカロレア(IB)のプログラムに準じた教育を行う学校です。授業についていくだけの英語力がない場合にはELAにて英語を学び、徐々にクラスの中で学ぶ時間を増やしていきます。スポーツ系、芸術系、音楽系等の、様々な放課後アクティブティを提供しているほか、18:30までのチャイルド・ケアも利用できます。

 他にも以下のインターナショナル・スクールがあります。
  • Danube International School:幼稚園から高校まで、500名以上の生徒が英語で学んでいます。英語に不慣れな生徒にはELAの教育サポートが提供されます。放課後アクティビティも充実しています。高校卒業時にはIBの取得試験を受けることができます。
  • American International School Vienna(AIS):自然豊かな地区にあるアメリカおよびカナダ系の学校ですが、通っている生徒の国籍は様々です。幼稚園から高校まで、約700名の生徒が学んでいます。英語に不慣れな生徒にはELAの教育サポートが提供されます。スポーツ系を中心とした放課後アクティビティも提供されています。高校卒業時にはIBの取得試験を受けることができます。
  • Lycée français de Vienne:フランス語系ですが、AIS同様、様々な国籍の生徒が通っているインターナショナルスクールです。幼稚園から高校生までが学んでいます。フランスの幼稚園では読み書きを含めた学習が行われており、小学校以上の入学にあたっては相応のフランス語能力が求められるようです。
  • Amadeus International School:閑静な住宅街にある、プレスクールから高校までの生徒が通うインターナショナル・スクールです。一般の教育のほか、音楽教育に力を入れており、高学年になると音楽において高い能力を有する生徒が多く在籍しています。放課後アクティビティも、音楽関係(楽器の個人レッスンやグループレッスンなど)にも力を入れています。高学年になると寮を利用することもできます。

 ウィーンにはバイリンガルスクールという公立の学校もあります。この場合、英語、あるいはドイツ語のどちらかが母国語程度に使えることが条件になります。入学後、子供たちは軸となる言語で主に学び、徐々にもう一つの言語でも学んでいき、最終的には2つの言語が小学校卒業レベルになることになっています。


<ケース3:現地校に通わせたい場合>
 長期の赴任になりやはりドイツ語を習得した方が良い、現地の子供たちと同じ環境で学ばせたい、という場合には、現地校に通うことになります。

 現地校の小学校選びは、比較的早い時期に始まります。

 公立小学校の場合、近所の小学校に入ることはもちろん可能ですが、自分の子供にあった学校に入れるため、近所ではない、時には区を超えた学校に通うことがあります(ただし、人気校の場合は学校と同じ区にに居住しているご家庭が優先されるようです)。ウィーンには、前述のようにバイリンガル校がある他、GEPS(Global Education Primary School)プログラムを提供する小学校があります。こちらの小学校は公立ですが、通常の小学校よりも少し英語の授業に力を入れていたり、より世界に目を向けた教育が提供されているようです。

 入学する前の年度の10月から12月(入学の約1年前)にかけて、ウィーン市が定めた日、それに加えて各校が独自で決めた日にTag der offenen Tür(オープンスクールデイ)があり、子供と保護者が学校見学を行います。この学校に行きたい、と決めているのであれば、そこで面接の手続きをします(後からでもできます)。2月頃に校長先生等と面接をし、その学校の入学許可を得ます。

 私立小学校の場合は、このスケジュールが早く、10月頃には面接が行われます。このため、小学校に入る前々年度からどの学校に入るのかある程度目星をつける活動をされるご家庭が多いようです。情報収集の段階で、個別に学校にコンタクトを取り、校長先生から直接話を聞くこともできます。

 小学校をはじめとする学校のリストは、ウィーン市の教育局(Bildungsdirection fur Wien, Wipplingerstrasse 28)で入手することができます。

 小学校は、8時に始まり、12時で終了するところが多いですが、16時頃まで活動する全日の小学校もあります。12時で終わった場合には、その後を学童(Hort)で過ごすことができます。

 インターナショナルスクール、現地校共に、日本の学校とは異なる教育方針やカリキュラムの下で授業をはじめとする学校活動が行われます。ウィーン国際日本人学校を含め、どちらが良い、悪い、ということではなく、ご家庭の状況やお考えにより沿った学校選びをされることが、当然ではありますが大切かと思います。実態の情報収集は容易ではありませんが、事前に学校に問い合わせたり、学校訪問を行う、また、実際に通っていらっしゃる方のお話を伺うことをお勧めします。


<おまけ:日本語を学ぶ子供の会>
 ウィーンには、日本人国際学校のほか、日本語の補習校として「日本語を学ぶ子供の会」があります。3歳以上の子供たちが週1回集まって日本語や日本の文化を学んでいます。こちらの学校ではあまり見かけない(皆無ではないと思いますが)、運動会や成果発表会なども会の主催で行われます。入会しているお子さんたちの親御さんが協力しあって運営されています。


Q9:長い夏休み、子供たちはどのように過ごしていますか。

 オーストリアの学校に通うと、日本よりも随分と多く学校のお休みがあります。

  • 10月の終わり:数日から約1週間のお休み
  • 12月の後半から1月初め:クリスマス休暇
  • 2月上旬:学期の節目となるお休み(1週間)※時期は州によります。
  • 春:イースター休暇(イースター前の週からイースターマンデイまで)
  • 7月〜8月:夏休み※州によって1週間程度ずれることがあります。
  • その他:祝日が火曜か木曜の場合、休みに挟まれた月曜と金曜もお休みになります。

※学校の方針により、これに順次ない場合もあります。ウィーン国際日本人学校やインターナショナルスクールは独自のカレンダーで運営されています。
 お休みが多い分、その間の子供のアクティビティは充実しています。学校がある期間中のお休みでは、学童(Hort)がプログラムを提供したり、民間機関が数日単位〜1週間のキャンプ(1日単位のアクティビティ)を提供しています。また、この期間にはウィーン市や民間機関が様々な子供向けイベントを提供しています。

 夏休みの長期休暇には、特に様々なキャンプが準備されています。

  • ウィーン市が提供するキャンプは、午前中に少しばかり勉強の時間が設けられ、午後には公園(Wasserspielplatz)や博物館に連れて行ってもらうなどのアクティビティがあるほか、オプションでサッカーやスイミング、サイエンスなどのアクティビティに参加することができます。
  • Kinderuni Wienでは、ウィーン市内にある大学が会場となり、子供たちは2週間に亘ってサイエンス、経済、技術などを体験を通して学ぶことができます。
  • その他、民間機関が提供する、サッカーなどのスポーツ系、絵画やクラフトなどのアート系、泊りがけのアウトドア系、個人レッスンやオーケストラなどの音楽系、プログラミングやサイエンスなどの頭脳系、など様々なキャンプが提供されています。
  • 様々なプログラムはありますが、2月のお休みは通称「スキー休み」と言われるくらい多くのご家庭がスキーに出掛けます。夏休みも、ご家族で3週間程度のバケーションに出掛けられる方も少なくありません。


Q10:せっかくの音楽の都・ウィーン。子供でも楽しめるプログラムはありますか?

 ウィーンには子供を対象としたプログラムが舞台やコンサートがたくさんあります。

 まずはウィーンのシンボルの一つでもあるStaatsoper(国立歌劇場、いわゆるオペラ座)です。オペラなんて敷居が高いように思えますが、子供向けのプログラムもあります。年末年始定番の「ヘンゼルとグレーテル」は日本の子供にも馴染みがあるお話です。モーツアルトの「魔笛」も小さな子供にはちょっと複雑なお話ですが、着ぐるみ動物が出てきたり楽しい場面もあります。グスタフ・マーラーの間には「魔笛」に出てくる登場人物のタペストリーがあり、休憩時間にこれを見ながらオペラのお話を振り返るのも良い思い出になります。手前のスクリーンで日本語字幕も出てくるので安心です。バレエも最近では「海賊」がテンポのある音楽とダイナミックな振り付けでバレエに馴染みのない方でも楽しめる演目があります(2019/2020シーズン)。15歳未満の子供のチケットは定価200ユーロ以上するチケットでも15ユーロで購入できます。国立歌劇場のメインの建物ではありませんが、Agrana Studioでは、1時間程度の子供向けオペラを楽しむことができます。もちろん、生演奏です。

子供がオペラ座でバルコニー席の一番前なんて贅沢だけど、これも15ユーロ。せっかくなので、気に入りそうな演目ならちょっとおめかししてお出かけです。


 国立歌劇場の敷居はやっぱり高いと思ったら、フォルクスオーパーがオススメです。オペラでは「魔笛」「ピノキオ」、ミュージカルでは「オズの魔法使い」「サウンド・オブ・ミュージック」、バレエでは「コッペリア」「ピーターパン」など子供を主な対象としている演目がたくさんあります(2019/2020シーズン)。ちょっとくらいおしゃべりしてもお互い様、といった雰囲気があるのも、小さなお子さんがいらっしゃるご家族には気が楽になります。ボックス席も5人(演目によっては4人)集まれば貸切にできます。価格も良心的で、子供は定価の75%引きになります。最近では9月には、「どの演目もどの席も子供は1ユーロのキャンペーン」も行なっています。年間通じて楽しまれたい方は、Familienpass(ファミリーパス)を25ユーロで購入すると2人目の子供は1ユーロ、2人目の大人は半額(いずれも、金額が異なれば、高い方のチケットを割引してくれます!)になり、大人2人、子供2人のご家族であれば1〜2回で元が取れます。

ちょっとカジュアルなフォルクスオーパー。子供にお勧め、と紹介されているプログラムだってオーケストラ生演奏のプロの舞台です。


 舞台ではなく音楽を、と思われる方は、楽友協会やコンツェルト・ハウスの子供向けコンサートやHaus der Musik(音楽の家)での子供向けプログラムがオススメです。

 楽友協会では、小さな子供から青年まで、年齢層に分けてプログラムを提供しています。楽友協会と言えば、元旦恒例のニューイヤーコンサートが行われる場所です。子供向けプログラムはあの黄金の間で開催されることはあまりありませんが、大人たちと同様に、この歴史あるコンサートホールで音楽を楽しんでいます。

 Konzerthaus(コンツェルト・ハウス)でも、楽友協会同様、年齢別で音楽に親しむプログラムが提供されています。一番小さなお子様は1歳から!周りも同年代なので、気軽に参加できます。

 Haus der Musik(音楽の家)では、人形が出てくるなど子供に馴染みやすいコンサートのほか、モーツアルト、ビバルディ、ヨハンシュトラウスのクラシック音楽もクリスマスや舞踏会など季節のテーマに合わせて子供が楽しめるようにプログラムが作られています。

 ここに書いた以外にも、年中たくさんの子供向けプログラムが提供されています。


Q11: 最後に、外国で育児をする苦労とたのしさ(≒後続の読者に向けてのメッセージ)について、思いのたけをどうぞ…!

 外国で暮らすにあたり、言語や食事など苦労することは様々ありますが、育児という点では以下の2点が大きな苦労です。

 まずは、子供たちの教育です。これは、海外でどのように学ぶか、だけではなく、日本に帰国ことを想定し、どのように日本語の教育も進めていくか、も含まれます。子供たちが通う学校の教育は、個人的には将来的に役に立つ教育を受けていると思っていますが、日本の一般的な教育とは全くといってよいほど異なります。日本語の勉強や日本の学校のカリキュラムに準じた勉強も、通信教育等を使ってある程度取り組んではいますが、やはり日本の学校に通っているようには行きません。それを心配するのであれば日本人学校に通うのが最善策なのかもしれないですが、海外に来たのであれば、日本ではできない経験をさせたい、という思いもあります。勉強の問題は、高学年になるほど、特に受験が関連してくると、大きな課題になってくるかと思います。受験に関する条件など、海外からはなかなか情報が入手しにくい状況もあるようです。

 二つ目は、情報収集です。学校に関しては、どの学校を選ぶか、ということもありますが、現地校に通う場合には、現地校の学校システムを理解することも必要です。ウィーンでは、小学校から学校を選ぶことができる代わりに、選択するにあたっての情報収集が必要になります。自分たちで一つ一つホームページを開いてどんな学校かを理解し、オープンデイの日時を検索して訪問して先生たちと話してみるなど、結構な労力、そして言語力が(Google翻訳も利用していますが。)必要になります。子供たちの習い事も、どこに何があるのか情報を入手するまで(また、日本のようにやりとりがスムーズに行かないケースも少なくありません。)みなさん結構な労力を費やしていらっしゃいます。

 いろんな苦労もありますが、新たな体験を共有できるのが、海外で育児をする楽しさではないか、とこの寄稿を書きながら考えています。

 日本で育った私自身、日本では子供たちよりも知っていることが多いですが、海外で暮らせば一緒に新しい体験をすることが多くなります。日本とは違う自然や文化を、共に発見し、共に試し、共に驚いたり楽しんだり(時には共に文句を言ってみたり)と、同じ目線から経験や体験を共有できることが多く、そのことを楽しんでいるような気がします。

 たまたま私が住むことになったこのウィーンは、自然も公園も多く、たくさんの子供向け文化プログラムも多く、また、子供に優しい社会システムを提供してくれます。こうしたことが、私のこの街での育児をサポートしてくれていることに間違いありません。でも、そのどれかが欠けていたとしても、やはり、たくさんの「初めて」を共有できるのが、私の海外での育児の楽しみではないかと思います。

ウィーン到着翌日に撮ったドナウ川。
この川からだけでも、たくさんの感動、楽しみ、驚きをいただいています。

コメント