三土たつおさんと対談した

デイリーポータルZで、三土たつおさんとの対談記事を掲載した。

 サウジアラビア等の三角コーンについて1万字ほど語るという、わけのわからないコンテンツができあがった。

本邦初公開! これがサウジアラビアの三角コーンだ

Satoru: 先日、サウジアラビアの首都・リヤドに仕事で行ったのですが、あちこちで三角コーンを見かけました。
三土: おお...! (上の写真を見ながら)日本では見かけないデザインで新鮮ですね。
Satoru: こんなにたくさんの三角コーンを見かけたのは、どこもかしこも工事中だったからかもしれません。


三土さんを賛美する

三土さんは、かねてより私が敬愛するライターである。

渋谷の交差点から人をじわじわ消す
https://dailyportalz.jp/kiji/shibuya-nobodify

 たとえばこの作品。数万点に及ぶデイリーポータルZの記事群にあって、最高傑作のひとつだと私は思う。

 まず、発想がすばらしい。現代アートにも通じる瑞々しい感性がある。それでいて三土さんの筆致は柔らかく、読者に前知識を求めない。長時間露光に基づいた画像処理のプログラムを「多数決露光」とネーミングする、その(さりげない)センスの良さ!

 渋谷の交差点から人が消える。非日常の光景が醸し出す驚きと侘び寂びを、読み手に無理に押しつけない慎ましい文体もいい。主観と客観の位置どりが絶妙というか、こんな文章は誰にも書けるものではない。

 文章とはおそろしいもので、どれほど推敲を重ねようとも、書き手の人格を払拭するのは不可能に近い。自己卑下の裏側にしまい込んだ傲岸な自尊心も、中立の顔をした排他の精神も、見抜く人には見抜かれてしまう。まったく困ったものである。

 けれども三土さんの文章には、全体に愛情がコーティングされて、その外殻を剥いでもまたべつの愛が顔をのぞかせるような、そうした心地よい温度感がある。

 「この人は信頼に足る人だ」と私は思って、それでデイリーポータルZのライターになって日の浅いうちにコラボ記事の案をオファーした。三土さんと初めて対面する1ヶ月ほど前の話である。

「街角図鑑」から引用(p.17)。三土さんの解説が優しい世界観をつくっている


同引用(p.132)。赤瀬川原平などがお好きな方は、きっと似たテイストでたのしめると思う


新世界へ

私がこの文章を書いているのは対談記事の発表前で、だからどれだけ読者の支持を得られるか分からない。極夜の北極圏のような闇の世界である。

 闇のなかにあって掌中に残るは、「三土さんとの共同記事を書くことができて本当によかった」というタンジブルな実感だ。

 本稿の完成までに3ヶ月ほどを費やしたが、下調べが愉しく、三土さんとの議論が愉しく、文字起こしすら愉しかった。頭から尻尾まで愉しみが持続する仕事というのは、なんと実在するのである。

 国土交通省関東地方整備局道路部道路管理課の担当者をはじめ、取材にご協力いただいた方に感謝を申し上げたい。そしてあなたが本稿をきっかけに、三角コーンに対する関心の昂りを覚えたのなら、もはやこれ以上の喜びはない。

 ウェルカム・トゥー・ザ・ワールド・オブ・三角コーン。








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