1週間の旅行グッズは「40x30x20cm」に詰め込める
旅行の荷物は、どう選ぶべきか。何が必要で、何がいらないか。 これは、数多くの先人たちが意見を具してきたテーマである。 使い慣れたアイテムをできるだけ持ち込む 「詰め込み派」 。 パスポートとスマホさえあれば良しとする 「ミニマル派」 。 帝国主義打倒・スターリン主義打倒を掲げる 「革マル派」 。 そこには、それぞれの哲学があり、思想があった。ときに派閥間の武力衝突が起こったり、起こらなかったりした。 こうしたおそるべき状況にあって、私は ミニマル派寄りの個人主義 を奉ずる者だ。 この派閥は、「荷物は少ないのが良いと思う。でもまあ、これは《良い悪い》じゃなくて《好き嫌い》の世界だよね」と、いささか軟派な発言をみせることで知られている。 そんなわけで、私が以下に陳述する事柄は、頭から尻尾まで趣味の領域に属する話である。この意見に与しない読者諸氏を排斥しよう、などといった意図はみじんもない。 逆もまた然り。本稿を一読後、「お前の意見は間違いだ」「お前の人間性には問題がある」などと石を投げるのはご遠慮ありたい。繰り返すが、これは単なる《好き嫌い》の話なのだ。 パスポート(必要度★★★) パスポートなしで外国旅行をするのは難しい。というより、ほとんど無理筋だ。 これを紛失すると、かなりキツめの展開が待っている。私はいくつかの例を知っているが、「一時帰国」「外務省」「叱責」というキーワードがいずれにも登場した。 ヨーロッパ在住者は、シェンゲン域内ならパスポートなしで移動可能である。でも私の経験からすると、「非白人」に提示を求めるケースもあるから要注意だ。私は何度か忘れて、国連職員の身分証(Legitimation Card)で窮地をしのいだ。 ちなみに、国連職員には レセパセ(Laissez-Passer) という外交官旅券が与えられるが、 これといった特権はなく、私用に供することもできないので(当たり前だが)、特にうらやむ必要はない。むしろトラブルを招くケースもあって、たとえばレセパセのみを携行してロシアを訪れた私は、空港で 入国拒否 をされてしまった。 このときは揉めに揉めて、最終的にはなんとか入国できたのだが(ビザの保証元が国営企業だったのも功を奏した)、拙稿をお読みの国連職...